地底たる謎の研究室

3000km深から愛をこめて

もう一度この世界

題名:もう一度この世界報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 研ぎ澄まされたかのように思える意識とは裏腹に、僕はすべての感受性を失っていた。ぼーっとして、暗闇の中で、忘我して佇んでいた。浮遊していた。こぶちゃんとの夢と希望にあふれ…

意識だけ

題名:意識だけ報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 Moon Townの牢屋に閉じ込められ、閉じ込められた僕の心の中も、次第にあたり一面から闇が潜んでくる。そうして、いつの間にか、真っ暗の中に放り出され、一縷の輝きも見えなくなった。 真っ…

もう、何もない。

題名:もう、何もない。報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 ある意味、Monn Townの象徴、あるいはこぶちゃんブランドを鼓舞しているその月の世界において、僕はこぶちゃんを永遠に葬り去るという選択を選んだ。それは、無意識の行動でもあった…

永遠に死に続ける

題名:永遠に死に続ける報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 その動物は、僕が愛したあのラクダのこぶちゃんに間違いなかった。やっぱりこぶちゃんスペシャルの宇宙服に身を包んだその動物は、ラクダで、こぶちゃんだった。でも、僕が知ってい…

永遠に生き続ける

題名:永遠に生き続ける報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 生ける屍。ゾンビ。ゾンバイオ。死霊のはらわた。ぼくちゃん・オブ・ザ・デッド。とにかく思いつく言葉を列挙してみた。けたけたけた…。夢や希望のないただの歩み。僕はその歩みに従…

けたけたけた…

題名:けたけたけた…報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 重い足取りで、僕は順路に従って進んだ。両方の足首には鎖が繋がれ、その先に3kgほどの鉄球がくっついているようなそんな足取りで、じゃらじゃらごろごろ、じゃらじゃらごろごろという…

順路に従って

題名:順路に従って報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 んごぉーと鳴いとるで~。その言い方は物まねではあったものの、こぶちゃんの鳴き方に間違いなかった。つまりはこうだ。香料メランジが付着した僕がこぶちゃんを埋めた時に使ったスコッ…

んごぉーと鳴いとるで~

題名:んごぉーと鳴いとるで~報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 館の中は薄暗く、ほの明るかった。そこでは、今にも何かが起こりそうな気配がした。やや狭めの通路の左右の壁にはフランコ・ハバド氏の写真がずらっと飾られ、「我を崇めよ。…

不可逆的変化

題名:不可逆的変化報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 月の表面は風雨がなく、そこにある痕跡は風化することなくとどまる。しかし、思い出そうとしても、想い出がない記憶はもはや風化し始め、やがてその痕跡を跡形もなく失わせる。どのよう…

思い出そうとしても、想い出がない

題名:思い出そうとしても、想い出がない報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 嫉妬しとんのか? と問われれば、そうかもしれないし、そうでないかもしれない。その間もハイパーループ・カプセルは、Subway Trainのように静かに滑らかに進行し、…