地底たる謎の研究室

3000km深から愛をこめて

記憶がまざまざと

名:記憶がまざまざと報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 写真を手掛かりにいくつかの場所を回ってみた。もちろん「湯の花まんじゅう」の看板のある付近も探し回った。どこにもシズコの影は見当たらなかった。それよりも、回れば回るほど妙な…

既読…、

題名:既読…、報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 新幹線には何のトラブルもなく、僕を東京駅から高崎駅まで運んでくれた。でも、トラブルがあったのは僕自身だった。何もかも失われ、そこにあるイメージもなくなり、僕はただボー然としてプラ…

その愛の痛み

題名:その愛の痛み報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 東京駅で地下鉄から上越新幹線に乗り換え、高崎駅まで向かった。僕は、幹内でスマホしながら、伊香保していた。「伊香保(イカホ)の名前の由来をご存知ですか? その語源は、アイヌ語の…

伊香保していた

題名:伊香保していた報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 駅構内のトイレで、鏡の中の自分を見て、まるで浮浪者だ、一端出直す必要がある、と思えた。本来の僕は、比較的綺麗好きなはずだ。こんな格好をしていることに平気になった自分を、自…

まるで浮浪者

題名:まるで浮浪者報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 「いずれ肉は腐る。」かのように日々を過ごしていた僕は、何かに急き立てられるかのように、ありとあらゆる写真やデータを家探ししていた。そして、僕は妻シズコとの歴史をなぞっていた…

いずれ肉は腐る。

題名:いずれ肉は腐る。報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 抹消を望んでいても、結局、考えることは人との関係だったりする。だから、もう、それはうんざりなんだと思いつつ、そういう独りの状況に陥ると、結局は今まであった人とのやり取り…

永遠の解答

題名:永遠の解答報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 永遠の愛なんて存在しない。 誰もが知っていることだ。でも、その時、その愛が永遠なら、どれだけずっと幸せでいられるのだろうか、と僕は考える。シズコとクミちゃんを通して、僕はそれを…

永遠の愛なんて存在しない。

題名:永遠の愛なんて存在しない。報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 人によって好みは異なる。僕が顔を見上げ、その存在を認識した時から、僕の中で、クミちゃんは輝きだした。それまでにも、彼女は受付にいたはずだった。でも、始めて、何…

“豊かでなめらか、そして温かみのある声”

題名:“豊かでなめらか、そして温かみのある声”報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 次の日に出社すると、臨時の人事異動の交付があった。僕は営業2課に配属されていた。サメジマさんは課長に昇格していた。人事的には僕は降格で、サメジマさん…

ヘリの音

題名:ヘリの音報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 それでもまだ、その時はシズコとの会話は少しはあった。今日の仕事で、あったことを話した。成績のことも話した。「そんなこともあるわよ」と妻は慰めてくれた。「明日、帰り遅くなる?」、…