地底たる謎の研究室

3000km深から愛をこめて

こっちの世界とあっちの世界

題名:こっちの世界とあっちの世界報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 花見医師から一通りの説明が済んだ後、僕は看護師さんに連れだって部屋に戻ることになった。アクリル板の向こうで妻は手を振ってくれた。でも、アクリル板でそこで仕切ら…

妻との間のアクリル板

題名:妻との間のアクリル板報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 「電気けいれん療法…???」 僕は医師に聞き返した。花見というめでたいような名を持ったその医師は、僕の疑問に率直に答えた。「そうです。電気けいれん療法です。ここしばらく、…

プラひもへの執着

題名:プラひもへの執着報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 サイレンの音は僕たちのアパートのすぐ横の民家で止んだ。僕のお迎えではないようだった。その間、妻は抱きかかえた僕のよだれや何やらをふき取ってくれ、ずっとそばに居てくれた。…

サイレンの音

題名:サイレンの音報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 僕が消えても、世界からは何かが失われるわけではない。次から次へと新たな会社が起業し、結局は生き残ったものだけが世界を継ぐ。でも、僕にはもうその継ぐ意思は残されてはいなかった。…

この世から僕は消えたかった

題名:この世から僕は消えたかった報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 スプーンに乗ったゼリーのそのPurpleに輝く姿態は、ゼリーという概念を超えて僕の記憶にやはり思い出させる何かがあった。そうだ、僕の目で見る世界はある時を境にしてPur…

Red Grapeなるゼリーの記憶

題名:Red Grapeなるゼリーの記憶報告者:ダレナン 賞味期限がもうすでに6か月を過ぎたゼリーが冷蔵庫のチルド室の奥から発見された。それは2024年の夏のことであった。逆算するとそのゼリーは4年前の僕たちが引っ越しの際にもらったものである確率が高かっ…

満タンにドリップした入れたばかりのコーヒーを飲まずに捨てたのだ。わたしは…。

題名:満タンにドリップした入れたばかりのコーヒーを飲まずに捨てたのだ。わたしは…。報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 この物語の続きであるとことわりつつ、ストーリーの続きでない、本来なら、<第2部 始>とここから<第1部 完>につながる…

創造の先端にある想像の世界

題名:創造の先端にある想像の世界報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 老人が何か思いつめるように鋭い眼光で空なる一点を見つめていた方向を見ると、僕には何も見えなかった。その後、老人は再び12AU7Aをライトセーバーと化した。そして、そ…

SoCと呼ばれる存在

題名:SoCと呼ばれる存在報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 僕は、老人のその激情なる感情に劇場を感じた。乃木坂のような毎月劇場の如くそれは新鮮だった。その新鮮さは時折その老人が、起きた荘子のようにも、沖田総司のようにも見えること…

12AU7Aライトセーバー

題名:12AU7Aライトセーバー報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 その老人は365への怒りをあらわにした。わしの創った真空管を使わんからAIの学習機能が劣っとるんや、と…。かと思うと、途端ににこにこして、そうじゃ君の名はなんと申すと僕に…