地底たる謎の研究室

3000km深から愛をこめて

古い本の匂いに関する調査



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:古い本の匂いに関する調査
報告者:トシ

 古い本は独特な匂いがする。古い本の化学的な変化として、匂い以外には黄ばみ等の紙の変色、ぼろぼろした紙の劣化もみられるが、特に刺激されるのは、その匂いである。本研究記事に興味を持って読んでいる方ならば、足しげく古本屋に通われる方も多いであろう。その古本屋の中でも、特に扱っている本に歴史のある本、例えば、初版本等が多いお店であれば、お店自体も古い本由来の独特の匂いがする。
 日本で有名な古本屋の多い地域は、東京の神田神保町になる。古い本が好きな人ならば、その地域は聖地であろう。また、神田神保町には、一般では手に入らないような絶版の歴史ある本も扱うお店も少なくない。近年は雑誌等の様々な本が販売され、電子本も簡単に手に入るような時代となったが、先人の知恵や知識たる本は、本自体が色あせても、その内容は現在のものと比べて濃いものも少なくはない。
 当研究所でも、古い本が何冊かある。図がその一例である。昭和19年に発行された本で、値段は三圓八十銭と、とても古い本である。この本も黄ばみがあるとともに、独特な匂いを発している。しかしながら、決して嫌な匂いではない。むしろ好ましい。

SDIM1906-1

図 古い本の一例

 本研究記事は、この古い本の匂いが何に由来するのかについて調査するものである。
 実は、古い本の匂いの由来については、すでに科学的に検証されている。University College of LondonのStrličら1)によれば、古い本の匂いの秘密は、紙から空気中に放出される揮発性有機化合物(VOCs)で2)、それは紙の状態と安定性の情報をも与えているようである。さらに、”A combination of grassy notes with a tang of acids and a hint of vanilla over an underlying mustiness, this unmistakable smell is as much a part of the book as its contents.”2)とあり、”a tang of acids and a hint of vanilla”の正確な意訳は不明ではあったが、カビ由来の匂いには、酸っぱとバニラの芳香にも何やら関係が深そうである。

1) http://www.researchgate.net/publication/26818853_Material_Degradomics_On_the_Smell_of_Old_Books (閲覧2015.8.10)
2) http://www.acs.org/content/acs/en/pressroom/newsreleases/2009/november/telling-an-old-book-by-its-smell-aroma-hints-at-ways-of-preserving-treasureduments.html (閲覧2015.8.10)

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