地底たる謎の研究室

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Brian McKnightのバラードにみる抑圧された感情の美学



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:Brian McKnightのバラードにみる抑圧された感情の美学
報告者:ゴンベ

 Brian McKnightは1969年生まれのアメリカのシンガーソングライターである。バラードを得意としたシンガーであり、その曲調や雰囲気から同じアメリカ出身のカーティス・メイフィールドやスティービー・ワンダーのフォロワーとして一部では認識されているが、実際はやや異なる。もちろん、Brianは彼らから影響もあろう。しかしながら、完全なフォロワーとは異なり、BrianにはBrianらしい曲調や雰囲気にあふれていることは、彼の多くの曲からも理解できる。それというのも、彼は音楽一家に生まれるとともに、そのルーツはゴスペルにあり、兄のクロード・マックナイトもミュージシャンであることから、幼少期から音楽に対して他人とは異なる自分なりの見識があったことが分かる1)。担当できる楽器もボーカルだけではなく、ピアノ, ギター, トランペットと多岐にわたる1)。彼の曲の中でも、ファーストアルバム「Brian McKnight」に収録されている「One Last Cry」は名曲中の名曲である。韓国のシンガーであるパク・ユチョンもこの曲をよくカバーし、ユチョンを知る人の間では有名な曲でもある。Brianの写真を図に示す。「One Last Cry」が収録されているファーストアルバムは1992年のため、Youtubeで見る「One Last Cry」2)のMVと比較して年は経たものの、彼の各種バラードに通じる素敵な人柄がこの写真にはにじみ出ている。
 アメリカのミュージシャンの一部は、過激な表現があることも少なくはない。その背景には、アメリカの能力主義を中心としたシビアな見方もあろうが、特にR&Bなどのミュージックに関しては、人種偏見への反発を起因とする攻撃的な曲もなくはない。人種の多様なアメリカならではの過酷な状況がそこに感じられる。もちろんBrianにもその影響は皆無ではないと思うが、彼のバラードにはあらゆる人に対してやさしい気持ちを抱かせる特徴的な点がある。

Brian_McKnight_2014

図 Brian McKnight氏1)

 具体的な音域のデータはここでは提示できないが、彼の曲には刺激するような無理な高域が少なく、適度にふくやかな低域で、かつ、全体的にまろやかな音源を使用したバラードがほとんどである。彼が意図してこのような音を好んでいるのかは不明だが、彼がキーボードで扱う音源もとてもやわらかいものが多く、「芳醇な」とでも言えるような彼独自の美学がそこかしこに見てとれる。ファーストアルバムの音源に関しては、インドのシタールなどの音源も取り入れ、全体的に若気の至りのとがった感じもあるが、その後の全てのアルバムのバラードは彼の美学に基づく抑圧された音の心地よいタイプが多い。ただし、彼のファーストアルバムは決して失敗ではないことをあえてここで告げたい。それを証明するように、このファーストアルバムはアメリカでのプラチナアルバムであり、今でもその輝きは揺らぎない。
 抑圧された音を基調としているため、聴く側の年齢に関わらずいつ聴いても心地よい。また、その音にもれず感情を決して爆発させるのではなく、冷静でありつつもほとばしる感情を抑えられないといった歌い方も彼の優れた特徴である。日本での彼の知名度はいまいちだが、この先も彼のバラードが世界中の人に愛されるよう、年齢を重ねても彼独自の美学を円熟してもらいたい。そう期待してやまない。



1) https://ja.wikipedia.org/wiki/ブライアン・マックナイト (閲覧2015.10.9)
2) https://www.youtube.com/watch?v=sz-NhGanOAE&index=3&list=RD--IRJr_AsPU (閲覧2015.10.9)

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