地底たる謎の研究室

3000km深から愛をこめて

お客様は、○/○/○にこの商品を注文しました。



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:お客様は、○/○/○にこの商品を注文しました。
報告者:トシ

 生物学的にヒトは否応なく年を取る。それと同時に、記憶力もあやふやとなり、”忘れるの現象”が多くなる感じがある。そのため、過去に買ったものでも、それが十分にこなれていないと、それを買っていたことすら忘却してしまう。このような忘却に関する研究は、ドイツの心理学者のヘルマン・エビングハウス博士が著名であり、博士は1880年~、と今から100年以上もの前に、ヒトの忘却の特徴を曲線化し、忘却曲線(図)を提唱した。そして、その曲線は現在のヒトでも変わらず存在することが明らかであり2)、そのため、これは、ヒトの記憶力における普遍的な特徴となるであろう。買った中でも、書物は、「勉強のために…」と意気込んで買ってみたものの、中を拝見して「ふーん。分かりにくい…。うーん、分からないなぁ…。とりあえずここに積んどいて…、いずれ、また…。」とすると、図よりもカーブは著しく婉曲し、買った事実は、書物を積んだ時点で、ものの数分で闇の中に消え去る。年齢と記憶力は関係ないとの意見もあり3), 4)、買った事実の闇の中は、単純に個人の脳の中の整理法にも問題があるとも言えるが、やはり興味があっても理解できない書物は、脳の中で整理する前の段階とも言え、忘れるのも無理はない (と、ここで自己弁護する)。



図 エビングハウスの忘却曲線1)

 書物ではなく、物であれば、手に触って操作するなどの別の記憶も手伝って、買った事実が闇に葬られることは少ない。その物が役に立たなかったという判断が下されたら、闇に葬られるのは、その物自身である。これを一般的には、”捨てる”と言う。ここでは、”もったいない”精神が頭によぎるも、整理しないことには、今度は家の中の整理がつかない(ゴミであふれる)。
 近年では、このヒトの”忘れるの現象”を補完すべく、筆者がよく利用しているAmazonでは、商品の上にこう表示される。

「お客様は、○/○/○にこの商品を注文しました。」

○/○/○は西暦/月/日であるが、この表示のおかげで、「そう言えば、その時に買ったかもしれない…」、と思いだすことが出来る。この機能には近頃、大変お世話になっている。
 ヒトの興味は年齢を経て多少変わるも、大筋は幼少期からの影響に基づくものが少なくない。そのため、「面白そう…。」と興味を持ってクリックするも、Amazonでの上の表示を見ると、変わっていない自分にあきれることも多々ある。このような事態が続くと、ヒトの”忘れるの現象”を頻繁に研究した、ひとつの成果とも言えるのかもしれないが、あまり頻繁には研究したくないテーマでもある。

1) http://xn--yckc3dwa8839a0wb.com/memory/ (閲覧2017.5.10)
2) Murre, JMJ. Dros, J.: Replication and Analysis of Ebbinghaus’Forgetting Curve. PLoS ONE 10: e0120644. 2015.
3) http://fufufu.rohto.co.jp/feature/12/ (閲覧2017.5.10)
4) http://d.hatena.ne.jp/different/20090111/1220343239 (閲覧2017.5.10)

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