地底たる謎の研究室

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「小さなことからコツコツと」のギャグが、やがて名言と至る背景理論



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:「小さなことからコツコツと」のギャグが、やがて名言と至る背景理論
報告者:ダレナン

 お笑いタレントで”ちょー”が付くほど有名な西川きよし氏のギャグに、「小さなことからコツコトと」がある。そのギャグが生まれるきっかけは、文献1)に詳しいが、その言葉通りに今日まで様々な実践をしている西川きよし氏は、もはやお笑いタレントと言うよりも、人としてのあるべき人格者が垣間見られる。例えば、TVにおいても、いつなん時も謙虚であり、さらには若手芸人にもいじられるその姿は、まさに「コツコツ」を地で行く生き方の模範(鏡)ともなる。ギャグから生まれた言葉ではあったものの、西川きよし氏を師として仰ぐ人ならば、今や人生を生きる上での大事な言葉ともなっているであろう。筆者もその一人である。ある意味、アポロ11号による人類初の有人月面着陸の時のニール・アームストロング船長の名言である「That's one small step for [a] man, one giant leap for mankind. (ひとりの人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍だ。)」2)と同じく、何事も小さなことから始めるのが、その後の結果をおのずと導くことがよく理解できる言葉でもある。その他、古からのことわざとして、「千里の道も一歩から」の名言があり、こちらは春秋戦国時代の中国の哲学者であった老子によるが3)、これも「小さなことからコツコトと」と同じような意味合いがある。しかしながら、老子の名言におけるその一歩を分かりつつも、時には「俺(私)は意思が弱いなぁ…」で、結局はそれから先の一歩が留まってしまうことも少なくない。そのため、ここではなぜ、西川きよし氏の「小さなことからコツコツと」が、ギャグから、やがて名言へと至るのか、場合によっては老子をも超えるその言葉の可能性について、背景理論を探るべく、行動科学からそれを読み解きたい。
 行動科学のマネジメントの専門家として著名な石田淳氏によれば、人生を変える際に重要な考えとして「行動」にフォーカスすることが挙げられる。そこでは、「意思が弱いから」「根気がないから」「性格に問題があるから」「モチベーションが低いから」などの考えは無用とされる。必要なのは自分ですぐに「結果」が出るような、かつ、頑張りすぎないような小さな「行動」を興し、それが累積されることで「結果」が出せる自分となり、その一連の「行動」が、「人」してやがて変わると解く。その途中に出現するであろう「過去」の気持ちに引きずられることや、それによる歪んだ「認知」にはとらわれずに、目の前の「事実」をありのままに留め、かつ、「今」「現在」の「行動」にフォーカスせよと解く。その方法については、詳しくは文献3)を参照されたいが、このように解いてみると、行動科学の方法論は、「小さなことからコツコツと」にも通じることに気づく。「小さなことからコツコツと」はギャグであるゆえに、妙な「過去」にとらわれることない。ギャグであるがゆえに歪んだ「認知」もない。かつ、「今」「現在」の小さな「行動」(「コツコツ」)を積み上げる洗練性を端的に示す。その「行動」の累積による「結果」は、西川きよし氏の「人」なりを見れば、明らかである。言い換えれば、西川きよし氏は、実は行動科学の実践家でもある、と言えるのかもしれない。
 ギャグから派生した西川きよし氏の「小さなことからコツコツと」であったが、ギャグゆえに、より一層、妙な「過去」や歪んだ「認知」に縛られず、素直に「今」「現在」の自分に意識を焦点化させ、小さな「行動」(「コツコツ」)を積み重ねやすい。その趣は、やがて老子をも超える名言へと至る可能性が秘められている。




1) https://ja.wikipedia.org/wiki/西川きよし (閲覧2017.5.11)
2) http://meigen.ko2ko2.net/2009/07/0282.html (閲覧2017.5.11)
3) 石田淳: 人生を変える行動科学セルフマネジメント. 大和書房. 2015.
4) http://kotowaza-allguide.com/se/senrinomichimoippo.html (閲覧2017.5.11)

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