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”情動”に関わる神経回路 -残酷な天使のテーゼへの補足-


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題名:”情動”に関わる神経回路 -残酷な天使のテーゼへの補足-
報告者:ナンカイン

 本記事は、基本的にこの記事の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 先の記事で”情動”と”感情”について整理し、”情動”は、残酷な天使のテーゼへの序章となりうることを最後に示した。これについて補足すると、”情動”は、セルフコントロールが難しく、”感情”からの直接的な行動の表出となり、それが結局はそのヒトの本質を示す。裏を返せば、アンコントロール(残酷)な、”感情”の発露(天使)を示す、ヒト特有の命題(テーゼ:真または偽という性質をもつ1))、それが”情動”となることが分かる。
 ”感情”の発露が天使であればテーゼも真となるも、場合によって悪魔と化し、その悪魔による行動の表出も行動面では嘘はつけない。ここに、偽のテーゼが生じる。残酷(セルフではアンコントロール)であることから、偽の”情動”を抑えようともおさえきれない。そこで、この状況を如何にして改善できるかが、そのヒトの本質を見直すきっかけともなる。
 では、アンコントロールな”情動”を変えるにはどのようにすればよいのであろうか。
 ”情動”は行動面での表出である。このことから、これが表出する前段階でコントロールすることができる。すなわち、それは”感情”のコントロールに他ならないかもしれない。
 ここで、”感情”、”情動”、”理性”について問い直すと、以前のこの記事で示されたように、”感情”と”理性(論理)”の構造は、”感情”をベースにその上に”理性(論理)”が積み重ねられる三角形に帰結する。ここに、仮に”情動”を入れるとすると、三角形を区切る中央の線に相当するのであろう。しかしながら、”情動”の厄介な面は、先に示したように”感情”と直接に繋がれる行動の表出であることから、三角形の上に位置する”理性”でもおさえきれないオーバーフローとなる。天使ならよいが、悪魔では好ましい行動とはならない。先の記事でも記したように、嫌な人が近づいてきたときに、ぴくぴくしてしまうのは、自分に嘘がつけない現象でもある。そこで、この場合は、先の嫌な人との認識を改め、前もって”感情”を好ましい方向へと仕向けることが重要となるに違いない。いわゆるポジティブシンキングがこれに相当するのかもしれない。嫌な人のよい面に気を向けると、ぴくぴくは次第に減弱、ないし、消失するのは、ひとえに”感情”から”情動”へと至る神経回路の組みかえがなされたことに起因する。
 ”情動”に関わる神経回路は二種類のプロセスがあり、一つは大脳皮質を経由せずに、直接大脳辺縁系の送出される回路「感情的計算処理回路」と、もう一つは大脳皮質を経由して辺縁系に送出される回路「認知的計算処理回路」に分けられる(図)。「どこからか降りかかってくる」ような”情動”は前者が担う2)。
 やはり人を動かすのは理性ではなく、感情となり、その間に”情動”が存在する。



図 “情動”に関わる神経回路2)

1) http://www.weblio.jp/content/%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%BC (閲覧2017.10.26)
2) 遠藤利彦: 瞬時的なセンサーとしての情動の世界. 海保博之(編): 瞬間情報処理の心理学. 福村出版. 2000.

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