題名:人間が持つ二面性の乖離と、その恋と美との関連性から、人格の統合(品格)に至る経緯
報告者:ナンカイン
人には誰しも二面性がある。例えば、表向きには善であり、にこやかに対面していたとしても、裏向きには、その漢字の変換ミス的な、怨む気が潜んでいるかもしれない。それが発露している場合は、まさしく対立となるが、人は大人になると、その怨む気の裏向きは、表向きには出すことがほとんどない。鬱積の後に、キレるなどの表出によって、その怨む気が表向きとなってしまうことがあるも、その場合はそれ以後の人間関係が大いにこじれる。上司と部下の間でその怨む気が表向きとなれば、会社や社会側からの何らかの対処が生じることもしばしばある。それでは、この人間が持つ二面性の乖離にどう向き合えばよいのであろうか。
例えば、ここで鏡を見てみる。すると、その人には現実の自分と、鏡に映る自分とがある。その例として、写真家のDaniel Jackson氏によるモデルのBella Hadidさんの画像を図に示す。図の左側が現実のHadidさん、右側が鏡に映るHadidさんとなる。鏡が歪曲していなければ、鏡に映るHadidさんはその現実の美しいHadidさんの姿を映しているだけとなる。すなわち、右側のHadidさんにすれば、他人が自分を見る見かけの鏡となる。一方、現実の自分は、鏡に映らない内面も知っている。言い換えれば、左側のHadidさんは、鏡に映る以外の現実の自分の内面を知っている。Hadidさんに二面性があるかどうかは別として、少なくとも真のHadidさんは、左側のHadidさん以外には理解できない。このことから、もし仮に、Hadidさんに恋している人がいるとすれば、右側だけではなく、左側の真のHadidさんも知りたいとの欲望が芽生える。芸能界の様々なゴシップが騒がれ、話題となるのも、そこに一理がある。
図 鏡に映るBella Hadidさん1)
プラトンの「饗宴」を巡る私案を提示した中央大学の土橋茂樹博士2)によれば、プラトンによる恋と美との関わりは、次のような輪郭で抽出される。
1. 恋とは、美しいものを自分のものにしたい、という欲望を持つ
2. しかし、恋は、美しいものを実際に獲得・所有することを直接の対象をするのではなく、
3. 恋する対象の真実を語るような仕方で讃美することを求める
としている。ここで讃美とは、美しいものを美しいと感嘆・賞賛することを意味する。注目したいのは、獲得・所有するという対象があっても、それは鏡に映る真の姿ではないことにある。すなわち、図で示すと、右側のHadidさん、所謂一般に我々が他人を見る姿ではあっても、左側のHadidさんにはそれがないということである。真実に恋する対象は、左側のHadidさんであり、そこに乖離はなく、全ての讃美を求めることによって、乖離はやがて美しさによって吸収される。そこでは、嘘のない世界として人格に統合(品格)が生まれる。
1) https://www.teenvogue.com/story/bella-hadid-cover-star-the-weeknd-horseriding-dreams (閲覧2017.12.27)
2) http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsuchi/work/ronbun18.html (閲覧2017.12.27)
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