地底たる謎の研究室

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内臓逆位のDNA解明 -サウザー遺伝子を巡って-



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:内臓逆位のDNA解明 -サウザー遺伝子を巡って-
報告者:ムトウ

 とあるヒトがまっすぐ立っていたとして、それを前から眺めるとしよう。すると、ヒトの体のある規則に気がつく。真ん中を中心にヒトを折りたたむことが出来たとすると、その折りたたみは右と左で同じように重なる。多少のズレはあるも、一般的にはヒトの体は左右対称となっている。ここで言うまでもないが、このようにしてヒトの外部は左右対称である。そのため、腕が左右で二本、足も左右で二本、目も左右で二個ある。折りたたみの真ん中部分を通っているのは、体の部位でいえば、鼻、口、臍、そして、性器となる。
 体の外部ではこのようにして左右対称であるヒトであるが、内部ではどうであろうか。内部の神経のみを調べると、外部と同じように、ほぼ左右対称的である(図)。脊髄は中心に通るも、脳も左右対称、神経の枝も左右対称である。このことから、全て左右対称であるようにも思えるが、内臓は左右対称ではない。例えば、心臓は自分から内部を覗くと、少し左側に位置し、胃も左側、肝臓・膵臓などは右側に位置する。肺は左右対称的ではあるが、先の臓器も含めて全ての内臓が左右対称的に位置しているわけではない。内臓の詳細な位置関係は文献2)などを参照していただきたい。
 このようにして、内部の臓器は左右対称ではないことから、折りたたんでも重ならない。一方で、その内部の臓器の左右が反転しているヒトもいる。それが、内臓逆位と呼ばれる症状を持つヒトである。これは、内臓の配置が鏡に映したようにすべて左右反対になる症状であるが3)、通常と逆の見方が必要になる。そのため、手塚治虫氏の漫画「ブラックジャック」の第3巻にもこの話が取り上げられ、鏡を用いたオペを行っていることから、何となくこの症状を知っている人もあるかもしれない。



図 体内部の神経1)

あるいは、原作が武論尊氏、作画が原哲夫氏として有名な漫画「北斗の拳」で登場する人物、聖帝サウザーも内臓逆位を持つ人物であるために、こちらで知っている人も多いかと思われる。
 このような内臓逆位の症状であるが、現在はDNAレベルでこの症状を引き起こす謎が解明されている。そのDNAをショウジョウバエから同定したのが、大阪大学の松野健治博士を代表とする研究であり4), 5)、その原因はMyoID遺伝子の突然変異に基づく。さらに、松野博士らは、この遺伝子を正式な論文でも”サウザー遺伝子”(Myo31DFsouther) 5)と名付けた。サウザーは、改めて説明するほどでもなく、先ほどの聖帝サウザーにちなむ。なんておちゃめな研究であろうか。

1) http://www.ilocis.org/documents/chpt7e.htm (閲覧2018.3.22)
2) https://health.goo.ne.jp/medical/body/jin001 (閲覧2018.3.22)
3) https://ja.wikipedia.org/wiki//内臓逆位 (閲覧2018.3.22)
4) https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/22_letter/data/news_2012_vol2/p14.pdf(閲覧2018.3.22)
5) Hozumi, Maeda R, Taniguchi K, Kanai M, Shirakabe S, Sasamura T, Spéder P, Noselli S, Aigaki T, Murakami R, Matsuno K.: An unconventional myosin in Drosophila reverses the default handedness in visceral organs. Nature 440:798-802, 2006.

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