題名:現実と非現実における感性のジグソーパズル
報告者:ダレナン
本記事は、この記事の続きです。
先の記事にて、結末は同じでも、人の物語がある、生物学的には"つがいの解消"に至る経緯を、"愛憎"という人文化の最たる感情の流れとして不倫的な観点から追うとともに、人が恋におちるのは、人の定めでもある、ということも報告した。結局は、"つがいの形成"があったとしても、人のそれは、種としての繁栄だけを意味するのではなく、肉体が知覚する現実的な世界と、精神が感応する非現実的な世界との融合でもあり、いわば非現実的であるバラバラなピースを、現実として組み合わせるジグソーパズルの過程でもある。しかしながら、目に映らないピースは、どのようにすれば組み合わさって、それが完成に至るのかは、神のみぞ知る世界であり、人的にはまさに感性にゆだねるしかない。人が恋におちるのは、その感性の不安定さがもたらす事象である。
一方、精神の非現実性は目には見えないが、空間を切り取ることで、それを明確化できる場合もある。そのよい事例が、映画「あるふたりの情事、28の部屋」になろうか。監督はこれが初監督である、俳優のマット・ロス氏による。この映画の外と部屋の区切りの関係性を図式化すると、図のようになるであろう。一般的な通常の場合(左)は、現実の世界の中に外と部屋があり、ある部屋は単に壁で区切られた空間である。一方で、「あるふたりの情事、28の部屋」の場合(右)は、現実の世界として外があり、部屋は非現実的な世界として部屋という空間で仕切られている。映画自体は不倫を扱い、恋人のある男性(劇中で結婚したことが判明)と夫のある女性の物語であり、邦題が示すように、情事も常時ある。大まかなあらすじは文献1)にあるのでそちらを参照していただきたいが、この映画の伝えたいところは、不安定な非現実の世界(精神・部屋)を、不倫や仕事、さらに現実の世界(肉体・外)のという状況でより明確化させつつ、非現実の世界における感性の安定性を探るジグソーパズルの過程を描いた作品でもあろう。
図 外と部屋の区切りの関係性
それを端的に示すように、劇中でも主役男性であるクリス・メッシーナ氏のセリフで「人生は思いどおりになってる? 僕のはまるでジグソーパズルだ 組み立てるのを手伝え!」とベランダから叫ぶシーンによっても明らかである。
ただし、この映画では部屋の番号が表示されることから、それも何かの関連性があるかが気になり調べた。1704、3211、912、1239、623、336、809、2106、1919、527、1205、1602、1009、1401、306、1507、514、806、705、1103、308、829まで計上できたが、これをカウントすると22部屋であったことから、あと6部屋足りないため、漏れがあったのかもしれない。しかしながら、部屋の番号には規則性(暗号的要素)はないようであり、そこは深読みしすぎだったかもしれないと反省した。
1) https://hm-hm.net/love/あるふたりの情事、28の部屋 (閲覧2018.7.13)
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