地底たる謎の研究室

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グレとグレリンとグレムリン



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:グレとグレリンとグレムリン
報告者:トシ

 グレるといえば、少年や青年の生活態度が乱れ、反社会的・反抗的な行動をするようになることであり、不良になるという言葉でもあるが1)、近年はあまり使われなくなった言葉でもある。そのため、やや死語になるのかもしれないが、三省堂 大辞林として文献1)に記載されていることから、完全な死語とはいえないのであろう。しかしながら、グレ、そのものは、「あてが外れる」という意味の俗語「ぐりはま」が訛った「ぐれはま」を略したものに、名詞を動詞化する接尾語「る」をつけ、グレるとなり、その起源は、古く江戸時代から使われているとも言われている2)。意外と古くて新しい言葉である。
 一方、グレリン(Ghrelin)は、空腹と摂食を引き起こす腸管由来の恒常性ホルモンで、その働きは食欲を増進させる3), 4)。さらには、食欲を増進させる力に加え、食べ物の「匂い」をその人にとって抗いがたいほどに魅力的にする力もあるとされる3)。その「匂い」は、RPE (reward prediction error、報酬予測誤差:予期した報酬と実際に得た報酬の差を反映する5))関連を活性化させ、ドーパミン反応性領域に影響を与えるとともに、報酬系である海馬と腹側線条体との間の機能的結合性をも増大させる4)。すなわち、報酬反応に関与する脳の領域の活動を、より高くする6)。最近、異様にお腹がすくのは、グレリンがグレているからなのであろうか。お腹回りをみるにつれ、このままではまずい、と思いつつも、それに反抗するグレリンは、自分の意識の中で、反社会的なホルモンと化している。
 さらに一方で、映画界においてジョー・ダンテ監督は限りないB級センスを有する偉大な作家でもあるが(この記事も参照)、1984年に映画「グレムリン(Gremlins)」を監督している。そのグレムリンにおいて登場する性格温和で知的な生物モグワイ(図) (ただし、映画ではその一匹のモグワイをギズモとして命名)の飼育には3つの掟があり、①光に当ててはいけない、②水をかけたり、濡らしてはいけない、③真夜中(12時過ぎ)に食べ物を与えてはいけない、であるが、これを破ると、モグワイの変身後の姿でグレムリンと化し、滅茶苦茶に行動する怪物となる7)。この掟の中で、人にとっても、③真夜中(12時過ぎ)に食べ物を与えてはいけない、を破ると、グレリンが、グレて、グレムリンとなる。それでも、掟を破らないように気をつけるも、掟をやぶろうとする反抗的なグレリンには、困り果てる。



図 モグワイ8)

1) https://www.weblio.jp/content/グレる (閲覧2018.12.27)
2) https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1126728571 (閲覧2018.12.27)
3) https://www.cell.com/cell-reports/fulltext/S2211-1247(18)31772-8 (閲覧2018.12.27)
4) https://gigazine.net/news/20181226-hunger-hormone-ghrelin-aids-overindulgence/ (閲覧2018.12.27)
5) http://cognitivens.web.fc2.com/pb3.pdf (閲覧2018.12.27)
6) https://www.mcgill.ca/newsroom/channels/news/gut-hormone-increases-response-food-292422 (閲覧2018.12.27)
7) https://ja.wikipedia.org/wiki/グレムリン_(映画) (閲覧2018.12.27)
8) https://wifflegif.com/gifs/642982-horroredit-gifmovie-gif (閲覧2018.12.27)

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