題名:苦渋の決断
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
休憩時間も終わり、タンちゃんの二胡でますますニコニコするおやっさん(この物語)。ここ猫ラーメンの店の中で、ラーメン作りに対するいい循環が生まれていた。ただし、間違いなく客は、たぶん僕が勤め始めたころに比べて、3倍、いや5倍近くも増えているであろうか。もちろん仕込みの量もそれに合わせなければならない。ここで、味がブレるといけない。それは、おやっさんの嫁さんへの愛、その結晶もブレることになる(この物語)。だから、大事な仕込みの過程では、いつもおやっさんの手によった。ただ、ここのところ、その量が日増しに増えているので、おやっさんも大変そうだった。
「おやっさん、仕込み手伝いましょうか」
「いやいや、まだまだいけるでー、おっちゃんはまだまだいけるでー。それは嫁に対する愛なんや。逢いとうなって仕方ないんや。だから、頑張るでー」
「でも、これ以上仕込みが増えると、味がブレるのではないかと心配で…」
「そっ、そうか。味がブレる…。そうやな、そうしたら嫁にも顔向けできへんな」
タンちゃん:「おじさん、毎日のお店のラーメンの数量を決めたらどうかしら。それだと、ブレないし、終わった時点で閉店しても、いいと思うよ。私も味がブレるのは、反対」
おっちゃん:「せやな。そういうのもありやな。嫁のためのラーメンの味がブレちゃしょうがねーもんな。でも、ラーメソ食べたい(図)と遠路はるばる来てもらった客には申し訳ねー。でも、しゃーないな」
そこで、その日からラーメンの数量を限定した。そのため、仕込みも同じ分量でいけた。ただし、閉店後に後から来る客には申し訳ない感じもしたが、やはり猫ラーメンの味がブレるようでは、猫ラーメンの味を楽しみに来る客に対して申し訳ない。おやっさんの苦渋の決断だった。
図 ラーメソ食べたい1)
1) http://sakaue.tokyo/archives/657.html (閲覧2019.12.25)
From ここから。© 2015 This is 地底たる謎の研究室 version。