地底たる謎の研究室

3000km深から愛をこめて

「功を奏する」か「効を奏する」か。とりあえず「効を奏して」とする喜び



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

広告


pocket LINE




題名:「功を奏する」か「効を奏する」か。とりあえず「効を奏して」とする喜び
報告者:ダレナン

 本物語は、この物語の続きです。

 いつもよりも早かったが、さっそく漁に出かけた。ここ東郷湖は、汽水湖(淡水と海水が混ざる塩分の低い水をたたえる湖2))で、湖底からは温泉が湧き出ている1)。その湖底から湧き出る温泉によって水温が高く、しじみの餌となるプランクトンが豊富だった1)。だから、東郷湖のしじみは通常の3倍の大きさに成長する1)。黒いダイヤ。まさに、そんな感じ。以前、琉花からその黒いダイヤの英語を教えてもらった。Black Diamondというらしい。まさに、Black Diamondには、デナリを制覇する勢いがある(この物語)。なんてステキな響きだろうか。教えてくれた琉花のおかげで、今日の漁にも張り合いが出る。そうだ、あの時、琉花と出会ったばかりのころ(この物語)、琉花はこのBlack Diamondを見て、こう言ってたっけ。

(えっ、これってアサリ?)

(いや、しじみだけんど…(図)。ちなみに僕の妹の名は、アサリ。ちょっと笑えるよな。この地域に生まれたから、シジミでもよかったのにな…)

(へー、カツオさんには、妹さんがいるの。今、おいくつ?)

(ちょうど、15歳。いま、高校の受験の真っ最中なんだ…) 



図 ここのしじみ3)

 その時、遠目で琉花がやって来たことが分かった。その姿を見つけると、なんだか愛おしい。相棒、ZX-10Rの故障で、湯元 湯の川に泊まることになったけれども(この物語)、その偶然が「効を奏して」、琉花とのこころの距離が近くなったことに、僕の喜びは隠しきれなかった。

琉花:「カツオくん。おはよう。昨日、大丈夫だった?」

「飲み過ぎて、帰ってから、アサリに怒られた」

琉花:「やっぱり…。妹さんの気持ちも分かるなぁ。昨日、だいぶ飲んだみたいだったもんね。晴美ともすっごくいい感じだったし…」

「晴美さんとは何もないよ。僕が愛しているのは琉花だけだよ」

琉花:「ほんと?」

「ほんと。琉花だけだよ」

琉花:「ありがとう…。うれしい」

 そうして二人でBlack Diamond(おにしじみ)の選別をした。そうしながらも、昨日の夢(この物語)を思い出すと、琉花に対して、後ろめたい気持ちがあったのは、まぎれもない事実だった。

1) http://www.onishijimi.com/html/concept.html (閲覧2020.1.31)
2) https://www.weblio.jp/content/汽水湖 (閲覧2020.1.31)
3) https://necchu-shogakkou.com/blog/2223?sort=publish_date (閲覧2020.1.31)

From ここから。© 2015 This is 地底たる謎の研究室 version。