題名:はっしーん
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
晴美さんが軽トラに乗り込んだ時、僕は、相当にどきどきした。それは晴美さんへの恋心というよりも、晴美さんからの香りに、どぎまぎすることがすでに知っているからだ。その香りをかぐと、何日も続けて見た晴美さんとの夢の中に僕自身が入り込んでしまう。
「じゃぁ、おじゃましまーす。カツオくん、よろしくね」
(あれっ)あの香りがしなかった。不思議と穏やかに、魚の匂いだけが軽トラの車内に漂っている。そのお陰だろうか…(これなら、大丈夫だ)。
「確かに車内にちょっとだけ魚の匂いがするね。なんだか漁船に乗ったみたい」
「晴美さん、漁船に乗ったことあるの?」
「うん、昔にちびっとね…」
「へー」
「でも、カツオくん。思ったよりもここから宍道湖まで遠いみたい。昨日、調べたら、1時間30分ぐらいかかるみたいね(図)。電車で行ってもよかったかな…、でも、それだとカツオくんといっしょに行けないし…、カツオくんともいろいろ話してみたかったし…、もちろん、しじみのことよ」
その時、晴美さんは少し頬を赤く染めた。もしかして車内が暑いのかもしれない。
「窓開ける?」
「ううん、平気。それじゃー、カツオくん、はっしーん」
「らじゃー」
図 道1)
そうして、軽トラに乗って、二人は宍道湖へ向かった。
1) https://www.google.com/maps/ (東郷湖から宍道湖)(閲覧2020.2.6)
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