題名:理解しがたい現象
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
プップー
後ろの車からクラクションが聞こえた。どうやら、信号待ちで、待ち過ぎたらしい。僕と晴美さんはそのクラクションで目が覚めるように前に向き直り、僕は軽トラを発進させた。晴美さんと手が触れ、見つめあっている間(この物語)、なぜだか時間を超越してしまったような、それでいて、懐かしいような、そんな感じがした。その感覚が、妙にリアルだった。
晴美:「か、か、カツオくん。あと何分ぐらいで着きそうかな。日本シジミ研究所に…」
「ええぇっと..今、米子市内だから、あとは半分ぐらいかな」
晴美:「じゃぁ、11時ぐらいに着くね。シジミ研究所でいろいろ調べたら、たぶんちょうど昼ぐらいになりそう。その後、いっしょに食事しよっか♡」
「分かったよ」
そうこうするうちに、宍道湖ふれあいパークを過ぎたあたりで、日本シジミ研究所と書かれた分岐点(図)が見えた。
「おっ、そこを降りるんだ」
晴美:「10時50分…。あっ、だいたい時間通りだね」
図 分岐点1)
駐車場に止め、二人ほぼ同時に車を降りた。その直後に、やっぱり晴美さんの香りがして、僕は、いてもたってもいられなくなった。(琉花、ごめん、じぶんでもどうしていいか、わからないんだ…)。頭の中で琉花に必死に弁解しながら、晴美さんの元に近づき、僕は晴美さんの手を握った。
晴美:「カツオくん…♡」
でも、鳴り石の浜と同じく(この物語)、今度は、晴美さんに触れているとときめかなかった。心臓がだんだんと穏やかになる。晴美さんからの香りも気にならない。さっき晴美さんと手が触れ、見つめあった時は、時間を超越した感覚があったにも関わらず、今回はとても穏やかな感覚。自分でも理解しがたい現象だった。
1) https://www.google.com/maps/@35.4301231,132.9838839,3a,75y,259.58h,92.48t/data=!3m6!1e1!3m4!1sPRInwTXWuOl3NtGhdmltzQ!2e0!7i13312!8i6656 (閲覧2020.2.13)
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