題名:晴れた日の美しい太陽からの恵み
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
一度、その香りによって僕のこころの殻が開いてしまうと、そこはとても暖かい世界だった。太陽の光が降り注ぎ、僕のおでこにも晴れた日の美しい太陽からの恵みが当たっているかのようだった(図)。そうだ、僕はこの香りに翻弄されるのではなくて、守られていたんだ。ずっと、ずっと、むかしから…。そう感じた。
その個体からの、愛の香り。
泥の中でも、もう僕は独りじゃなかった。独りぼっちではなく、そのとてもいい香りがする個体がそばにいるお陰で、僕は安心できた。僕は安心できたんだ。
図 晴れた日の美しい太陽からの恵み1)
(晴美さん…)
目が覚めると、車の中にすでに晴美さんがいた。
晴美:「カツオくん。よく眠っていたね。あっ、口からよだれ…」
「あっ、ごめん、変なとこ見られた。…、もう調査、終わったの?」
晴美:「うん。ほらっ、シジミもいっぱい買っちゃった。今日の夜、琉花と3人でいっしょに食べよ。わたし、琉花とカツオくんのために、はりきっていっぱい作るよ」
「オーケー」
晴美:「でも、今、ちょうどお昼になったから、帰り路にここに寄ろう。いい?」
スマホには、そば。晴美さんのそばに、そば屋。そうか。そばなんだ。そばがあるお陰なんだ。
晴美:「出雲って言ったら、そば、だよねー」
晴美さんの笑顔がまぶしかった。その手打ちなそばに、東風(こち)1)が吹いてきたのを感じた。僕は、素早くキーを回し、軽トラのエンジンをかけた。随分とお腹が空いていることに、その時、始めて気づいた。
1) https://tabelog.com/shimane/A3201/A320101/32004237/ (閲覧2020.2.14)
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