題名:えっ?
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
薬を飲むとかなり痛みが楽になった。これなら、すぐによくなりそうだ。幸いなことに腫れも随分とひいている。歩く際も、それほど無理はしなくても大丈夫みたいだった。サポーターもうまい具合に膝の動きを抑えてくれていた。
(とりあえず荷物でも片付けるか…)
大山でBlack DiamondなテントFirstlightをおじゃんにしてしまったのは残念だったが、あの崖からテントごと、もし自分が落ちていたかと思うと、これぐらいのケガで済まなかっただろう。
アサリとコンブチャンは、片付けている僕のそばで、スマホでヨウツベを見ていた。どうも日本語じゃないチャンネルも見ているようだった。アサリがとても理解できているとは思えなかった。でも、二人の様子を眺めてみると、どうやらコンブチャンがそのヨウツベを解説しながら、説明していたようだった。コンブチャンは、他の国の言語も完全に理解できているらしい。アサリは、ふんふんとコンブチャンの説明を聞きながら、きゃははと時折、高笑いしながら無邪気に喜んでいた。
(いったいコンブチャンはどこの国の人なんだろうか…)
ウェアを片付けながら、貝殻の化石を取り出した。大事なハルミさんの貝殻。もう半分、探し出さなければならない。愛の頂きで、晴美さんと琉花との約束でもあった。貝殻を見つめながら、(晴美さんと琉花、きっと探し出すよ…)と二人に誓っていると、急にコンブチャンが、
「あれっ、ハルミの香りがする…」
といった。
しじみのハルミさんのことは、もちろんコンブチャンには話したことがない。アサリにも話していない。ましてや夢の中の世界のはずだった。しかも、アサリには話したが(この物語)、現実にいた晴美さんのことも、コンブチャンには話したことがない。なぜ、コンブチャンには、分かったのだろうか…。すると、僕の方を振り返り、貝殻を見つめた。
「あっ、それ、ハルミだ」
「えっ?(図)」
図 ?1)
1) https://illustcut.com/?p=2750 (閲覧2020.3.6)
From ここから。© 2015 This is 地底たる謎の研究室 version。