題名:もどかしいきおく
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
「きょうね、キッペイくんにつきあってもらたかったのはこれなの」
そういって、ケイコさんはびじゅつかんのてんらんかいのけんをさしだした。
「じつはね。これ、ともだちといっしょにいくことにしてたんだけども、ともだちがきゅうにじっかにかえるようができてしまって。しかたないから、ひとりでいこうとおもっていたときに、きのうののみかいで。えっ、サナダくん、このひとしってるの、ってびっくりして。そのこと、おぼえてる? もしかして、おぼえていない?」
すっかりおぼえていない。そうとうにでんすいしていなのだろうか。わるいくせだった。
「ゆうめいじゃないのに、キッペイくん、ものすごくよろこんでた。だから、ちょっとそれもうれしかったんだ。きくと、キッペイくんもこうこうのときびじゅつぶで、このひとのえがすきだった。そのこと、すっごいねつべんしてたじゃない」
そんなきもした。すきなことになると、わきめもふらずそのことばかりねつべんする。これも、ぼくのわるいくせなのだろうか?
「わたしもそうだったんだ、おんなじだーっておもった。うれしかったよ。だから、きょう、いっしょにここにいってもいい、いいよね?」
「もちろん」
そのときのケイコさんのえがおがまぶしかった。でも、ケイコさんも、ぼくも、じつはしたぎいちまいのすがたで、はなしていたことに、ここでふときづいた。じっとみていると、ケイコさんはすこしはずかしそうに、こっちみないで、といった。
えっ、ほてる? なんかした? ケイコさんになんかしたの? さっぱりおぼえていない。きおくからけされている。そのとき、きゅうにはきけをおぼえて、といれにかけこんだ。
「やっぱ、のみすぎだよ。キッペイくん」
おえっ。
おえつするなかで、おもいだそうとしてもおもいだせない、そんなきおくがもどかしかった(ず)。
ず もどかしいきおく1)
1) https://www.pinterest.jp/pin/739645938784791331/ (閲覧2020.6.18)
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