「ねぇ、これなにかな?」
彼女は僕に手のひらを見せて問うた。
「さっきから、かゆんだけども...」
TVをみていた彼女は、僕に手のひらを見せた。そこには、三つの斑点があり、蚊に刺されたものなのかと一瞬思った。でも、よく見ると、僕からは、それらが、顔に見えたのだ。
「やっぱり蚊に刺されたのかな~」
そうして、彼女は手のひらを搔いていた。
僕:「かゆみ止め塗る?」
彼女:「う~ん、少し経てば大丈夫そうかな~。ちょっとおさまったかも...」
そういう彼女に顔には困惑の表情が見て取れた。でも、僕には、それが、顔である、そのことが、ここで、間違いなく直観できた。
それは人の顔に間違いない隆起だったのだ。