題名:心の揺れ
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
ツキオ:(あー、僕は生きている。生きているんだ。キーコと一緒に)
キーコ:「ツキオ。素敵だったよ…。大好き…」
その後、Floatingしながら、Floating with youしながら、幽体離脱したあの瞬間を思い出す、そうして、ふと、彼女を覗くと、僕にしか見せない笑顔。いや、その赤く頬を染めた顔には、満足そうな表情が見えた。
Demo、僕だけだろうか。この顔を知っているのは…。この調べを知っているのは…。僕以外にもいるんじゃないか…。僕以外にも…。きっと、そう、そうに違いない…。
そうして、また、あの音がする。
キーッキーッキーッ、と車輪が回り、恐怖が蘇る。天井裏から僕たちを見ているあの染みは、次第に顔に変わってゆく。キーッキーッキーッ。もう回らないで、これ以上、車輪を回さないで。お願いだから。
口に感じる血の味が、キーコのものだと分かるまでに相当に時間がかかった。コチコチと響き渡る目覚まし時計の音。それが聞こえたことで、ようやく僕に分別を与えてくれた。
そうだ。信じなきゃいけない。キーコとの関係は、僕だけのものだ。
sense of immersion。ZONE ver1.0.0に突入し、キーコの顔を見つめながら、瞼にキスをした。そうすると、次第に車輪が回るあのキーッキーッキーッっという音がかき消されてゆく。
Love
Don't go away
Come back this way
Come back and stay
Forever and ever
宙を舞うダスト。そのダストに意識を合わせ、僕は、もう一度キーコの、横に眠る彼女の顔を覗いた。間違いなくそこにキーコが居る。そこに居る。そこに居る。そこに居る。
Please Stay
でも、やがて川の水は海へと注がれるように、留まれない心。耳を傾けても、心の揺れは正直だった。そうじゃない。そうじゃないのに…。その時、また、あの音がした。車輪が回る音だった。
キーッキーッキーッ
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