地底たる謎の研究室

3000km深から愛をこめて

幻聴



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:幻聴
報告者:ダレナン

 本物語は、この物語の続きです。

 その時を境に、僕は次第に幻覚を見るようになっていた。僕が生まれ育った5年前である1979を何度も繰り返し、繰り返しながら、僕の頭はコーガンし始めていた。そうして、頭の中のSmashingもPumpkins状態となり、Theがつくまでに発展した。そして、そんな幻覚中にノスタルジアは、Nostalghiaとなり、タルコフスキーへと変わった。「ロシア人作家のアンドレイ・ゴルチャコフは、助手で通訳のエウジェニアと共に、モスクワからイタリア中部のトスカーナを訪れていた。故郷ロシアに帰れば農奴となることを知りながらも帰国して○○した作曲家、パーヴェル・サスノフスキーの取材のための旅も、終わりに近づいていた。アンドレイは心臓病を患っていた」1)。そして、その「主人公のアンドレイ・ゴルチャコフはタルコフスキー自身と解釈されている」1)。それは、そして、そのアンドレイは、絆を求める僕自身でもあった。

あぁ、足る古伏木。
僕は足るをして古き伏せた木々の下でぼっと(う)していると、幻聴な声も聞こえ始めた。

緑の野原に聞こえる声
彼らの喜びや平静や楽しみは
僕の心のさすらいに消え去った
思い出の歳月に形づけられた木々の枝を
僕は切り取っている
彼らの幻影を僕の中から追い払おうと

貯水池にたつ波の音
僕はノスタルジアに溺れる


 幻覚な眼前にある貯水池は、風がないにも関わらず揺られ波めいていた。それはまるで、デヴィッドのように、シルビアンしている。僕は、安易に引用することは避けたくとも、心がどうしてもそれを求め続けて、

あぁ、僕は何で、何度も何度も同じ地点を巡るのだろうか。そして、またも幻聴が聞こえ始めた。

(タケヒサさん、あなたの子どものオスカルが今日で3歳になったよ)
(そうなの、クミちゃん…)
(うん、そうなんだ。最近、オスカルはね。数を数えたり、絵本の物語の筋書きを記憶することができようにもなったんだよ。シズコさんもお父としていつも助かってる。タケヒサさん、ありがと…)

1) https://ja.wikipedia.org/wiki/ノスタルジア_(映画) (閲覧2021.1.17)

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