題名:ガス室に閉じこもる人生
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
「あれっ、すまほがふっかつしたにゃん」
「本当だ…」
Qiからの放電が勢いづき、再び遠くにあるCPUのかちかち音もスマホ内部に響き渡るようになった。それによって、海外に飛び立つ勢いで羽田った羽夢(Spring Dream)は、機長りどる、チーフパーサー僕として、電流スピナーで今まさにCPU空港まで飛び立とうとしていた。ガス抜きされたせいか、エラー999のメッセージもすでにディスプレイから消え、今は、準備完了と表示されていた。
「ほほぅ、じゃあ、しゅっぱつするにゃん」
そうして、りどるは操縦かんを握って、得意満面な笑顔で、
「みなさま、きょうもでんりゅうすぴなー770びん、しーぴーゆーちょっこういきをごりようくださいましてありがとにゃん。このびんのきちょうはりどる、となりはきゃくしつをたんとういたしますちみでございますにゃん。
まもなくしゅっぱつするにゃん。
しーとべるとをこしのひくいいちでしっかりとおしめくださいにゃん。
しーぴーゆーくうこうまでのひこうじかんは13じかん20ふんをよていしてるにゃん。
ごりようのさいは、おきがるにちみにこえをおかけくださいにゃん。
それでは、ごゆっくりおくつろぎくださいにゃん」1)を参考
「いくにゃんでーーー。あのそらえーーー」と張り上げて、りどるが指さした。そのところ、またもやりどるは、一瞬だけ変化(へんげ)した(図)。
図 変化(へんげ)2)
「そういえば、ちみをちみといってたにゃんが、ちみのほんとうのなまえきいてなかったにゃん。なんてなだにゃん? ちみは」
「僕は、キザワ・ミチオ」
「ほほ、じゃあ、ちみでいいね。こんどから、ちみを、ちみってよぶね」
(それなら、本当はミチじゃねーのか? っていうか、ちみなら今までと同じじゃん)
「はっしんだにゃーん」
りどるの操縦による電流スピナーは前と同じく浮上した。そして、今度は、動きにがたつきがなく、スムーズに浮上した。窓から下には抵抗やコンデンサーの住宅街が見えた。そこには、小さくうごめくエレクトロンも見えた。その時、僕はようやく、冒険している、そう思えた。僕の人生は、ガス室に閉じこもる人生で終わりたくはない。今、僕は、時間をりどるとともに取り戻す決意を、僕自身で新たにしていた。
1) https://airline.gr.jp/article/in-flight-announcements (閲覧2021.3.11)
2) https://www.pinterest.jp/pin/672021575646368959/ (閲覧2021.3.11)
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