題名:完了していない進行形な夢の中での連鎖
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
湯を飲みながらカロリーメイトを食べていると、辺りが暗くなってきた。時刻を確認するともうすぐ夕方に差し掛かるところであった。今日の頂上からのあゆみのスピードだと、明日の朝一から下山して、ようやく明日の夕方にふもとに辿り着けるレベルだろうか。
再度右足を確認すると、やはり骨が折れた感じはない。そうすると、もしかして、筋か、それとも靭帯か。どちらにせよ、この痛みだとかなりの損傷をしたのかもしれない。右足を見ると、膝のあたりが相当に腫れていた。
胸のポケットから頂きで愛を誓った黒いダイヤ、しじみの貝殻の化石を取りだした。頂上で厳格な映像化でもって、晴美さんに「でも、その貝殻の化石、半分だよね…」といわれ(この物語)、改めて確認すると、しじみと同じく2枚貝なら、もう半分あってもおかしくなない。そうだなぁと思っていると、その化石から香りがした。それは、晴美さんの香り。なぜだか、ずっと、ずっと、むかしから僕を守ってくれている香り。
それに僕は安心できたせいか、急に眠気が襲ってきた。明日は日が昇ってすぐに活動しなければならない。やや空腹はあるものの、その眠気に耐えきれず、眼を閉じた。
きれいな水から潮の香りがしてきた。その時、ふと目の前にひらひらと舞い踊る貝が見えた。僕の方はといえば、ややドロドロしたとてもきれいとはいえないような泥水の中に身をひそめ、堅い殻を少しも開けずにこころの殻も閉ざしていた。でも、ちらちらと、その舞い踊る貝をみとれずにはいられなかった。同じ種類の貝なのに、別世界の貝のように見えた。あまりのきれいさに、ふと「きれいだ…」とつぶやくと、その舞い踊る貝が僕の方に近づいてきた。
その時、上から差し込む光(図)がその舞い踊る貝にあたった時、Sinking Inside Yourselfしながら、僕は何かを思い出した。
図 差し込む光1)
(僕は、晴美さんのことを、(むかしから)知ってる…)(この物語)
過去現在未来が繋がり、完了していない進行形な夢の中での連鎖だった。
「わたし、ハルミっていうの。よろしくね、あなたは?」
「ぼくは、カツオ」
そうして、ハルミさんのおかげで、ぼくのこころの殻が開き始めていた。
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