題名:とてもなじみのある鳴き声
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
どういうことなのかさっぱりわからなくなってきた。オスカルの予言と黄いヒヨコ。それにワカモト・クミちゃんはどうなったのか。シャバダバダな気分だった。そこで、シズコに尋ねてみた。
「シズコ…、変なこと聞くけど、ワカモト・クミちゃんはどうなったの? 彼女には僕の3歳の子どもがいるんじゃないの? オスカルって名の?」
「へっ、それどういうこと。いや、全然知らないけど。わたし、そのなんていうか、ワカモト・クミって人なんてまったく知らないけど…。って、どういうこと、ダリオくん、そのクミという人と浮気してたの。子どもまで作ったってどういうこと(怒)」
「そういうストーリーだったはずなんだけど…」
そこで思い出してシズコの会社の慰安旅行の写真を見せた。でも、そこにはクミちゃんの姿がなかった。
(写真にクミちゃんの姿がない…。どういうことなんだ…)
「この時の伊香保温泉の慰安旅行に、ワカモト・クミっていう人いなかった?」
「いないよ。似たような名前の人で、カワモト・クミコという人はいるけど、ほら、ここに写っている人」
シズコが指さした先には、年配の人が見えた。それがカワモト・クミコさんだった。
(カワモト・クミコさん…。ワカモト・クミちゃん…)
僕はめまいがして、立ち上がってすぐに倒れるようにリビングのソファーにどすんと腰かけた。シズコが心配そうに見つめていた。
「大丈夫なの、ダリオくん。この前の入院の時の影響がまだ残ってるんじゃない。もしかして…」
「入院って」
「ほら、自転車に乗っていた若い人に殴られたって。一月前ぐらいに顔面が腫れて1週間ぐらい入院してたじゃない。もしかして、それも覚えていないの?」
「いや、それは覚えてる」
「そう、ならよかった。心配しちゃった…。でも、ダリオくん、お父になるんだよ」
「そっか…、そういうことだったのか」
「そ、そういうこと。うんうん」
その夜は2人でお祝いをした。
僕はCruzcampoを飲みながら手の中にあった黄いヒヨコのお腹を押した。すると、プピーとは鳴らずに、
くっくどぅーどるどぅ
と鳴いた気がした。
それは僕にはとてもなじみのある鳴き声だった。
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