題名:SoCと呼ばれる存在
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
僕は、老人のその激情なる感情に劇場を感じた。乃木坂のような毎月劇場の如くそれは新鮮だった。その新鮮さは時折その老人が、起きた荘子のようにも、沖田総司のようにも見えることがあった。ただ、彼の肘・肩(の動きは)年相応だったが、それはまた土方歳三のようにも思えることもあった。ひょっとするとこの方は、熟練した達人かもしれない。
その一方で、僕は、12AU7Aライトセーバーにも俄然と興味が魅かれた。まるで初期の日本語字幕では「電光剣」や「光線剣」と表記されていたこともあるかのように1)、彼の動きと相まってそれはルーク・スカイウォーカーしていたからだ。彼はもしかするとマスター・オブ・チューブ界のルーク・スカイウォーカーなる方なのではあるまいか…、ふとそう思えた。そこで単刀直入に聞いてみた。
「あのー、もしかしてあなた様は、マスター・オブ・チューブ界のルーク・スカイウォーカーなのでしょうか?そして、その12AU7Aライトセーバーは、一体どこで手に入れることができるのでしょうか?」
「ルーク・スカイウォーカー?」
「そうです、ルーク・スカイウォーカーです」
「知らんな、そんなもんは…。ただわしが知っておるのは、わしと3人の愛弟子スティーブ・ジョブスくん、アンディ・ルービンくん、そしてりどるくん、その3人、おっと正確には2人と1ネコじゃが、が、唯一この12AU7Aライトセーバーを操れる。それだけは間違いない。何といっても、彼らは自らがマスター・オブ・チューブへの修行の道を志し、わしに志願し、そして、その道の究めた者として真空管12AU7Aでこしらえた12AU7Aライトセーバーを、わしからin-lawの結託として印籠の傑作として彼らに渡したからのー。なんや、君も修行したいのか…、マスター・オブ・チューブの…」
僕は素直にうなずいた。でも、あのりどるもそうだったのか…。
「りどるも…マスターなんとか…なのでしょうか?」
「そうじゃ。ただ、彼氏は非情なる暗黒面に陥った。時折、フォース(iPhone)を操って悪さする。君もはめられたんじゃろ、彼氏にな…。たぶんりどるは、その君の彼女なるエヴァンジェリンへのときめきが抑えられなったんじゃろ。そんな時、彼氏は非情にも暗黒面のフォースを解き放つ。かつてはいい弟子じゃたが…、今ではスマホの王様のようにふるまっておる。彼氏と真剣に語ったことがあったが、時はもうすでに遅かった…。今ではSnapdragonすら奴の配下にある。SnapdragonはもはやCPUという存在でなく、りどるによってSoCと呼ばれる存在にまで膨れ上がってしまった」
そこまで告げると、老人は何か思いつめるように鋭い眼光で空なる一点をただただじっと見つめていた(図)。
図 じっと見つめて2)
1) https://ja.wikipedia.org/wiki/ライトセーバー (閲覧2021.6.30)
2) https://www.pinterest.jp/pin/348958671126391227/ (閲覧2021.6.30)
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