地底たる謎の研究室

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心臓の拍動を決定するキース=フラックの結節の発見



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:心臓の拍動を決定するキース=フラックの結節の発見
報告者:ダレナン

 本記事は、この記事の続きです。

 先の記事で心臓とハートとこころについて考えた。ここでは心臓の働きについて、その働きのきっかけの元となるキース=フラックの結節について調べたい。
 心臓は休むことなく24時間働いている。特にリズミカルに24時間中、ドクン、ドクンと拍動する様は、体の臓器の中でも最も働いているダンサーで賞という賞に値するであろう。このドクン、ドクンに関してそのきっかけがすでに発見されており、心臓にあるキース=フラックの結節が担っていることが分かっている1)。キース、フラックは発見した人の名が由来で、イギリスの解剖学者Arthur Keith博士と生理学者Martin William Flack博士の両博士の名からキース=フラックとなった1)。キース=フラックの結節は、別名で洞房結節や洞結節とも呼ばれる。こちらの方が世間的には有名かもしれないが、基本的に同じ結節を示している。
 キース=フラックの結節の発見は、1907年まで遡ることができる2)。今から110年前のことである。
 キース=フラックの結節から発生した規則正しい電気信号が、心臓各部を流れる系を刺激伝導系という。その流れは、キース=フラックの結節→アショフ=田原の結節→ヒス束→右脚・左脚→プルキンエ線維となる1)。キース、フラック、アショフ、田原、ヒス、プルキンエのいずれもが各博士の名が由来であり、田原はその名が示す通り、日本人の田原淳博士の発見からもたらされている1)。
 この刺激伝導系の流れを心電図との対応で示すと、図のようになる。図の右下にある波形がTVなどでもよく見る心電図の波形となるが、刺激伝導系の各部位で得られた電位がその上の図となることから、右下の心電図はこれらを重ね合わせた波形となることがよく理解できる。さらに、波形の横軸は時間であることから、電位による刺激が起こっている時間系列もよく理解できる。これについては文献4)も参考となるであろう。なお、図のSA nodeはキース=フラックの結節を示し、AV nodeはアショフ=田原の結節(別名、房室結節)を示している。
 刺激伝導系はキース=フラックの結節がきっかけでもたらされる。しかしながら、各部位での働きの発見は、プルキンエ→ヒス→アショフ、田原→キース、フラックの順となり、実際の伝導の流れと逆となる2)。このことから、きっかけを探るのは大変難しいこともよく理解できる。



図 心臓の刺激伝導系と心電図3)

1) http://45274515.at.webry.info/200802/article_10.html (閲覧2017.6.29)
2) Silverman, ME., Hollman, A.: Discovery of the sinus node by keith and Flack: on the centennial of their 1907 publication. Heart 93: 1184-1187, 2007.
3) https://thoracickey.com/the-cardiac-conduction-system/ (閲覧2017.6.29)
4) http://slideplayer.fr/slide/496763/ (閲覧2017.6.29)

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