地底たる謎の研究室

3000km深から愛をこめて

心臓にはこころはないが、ハートにはこころがある



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:心臓にはこころはないが、ハートにはこころがある
報告者:ダレナン

 心臓はその名が示す通りで、心の臓器となる。今よりも医学が発達していなかったかつては、心臓は心の臓器となり、この臓器がこころ(物質的な心ではなく、精神的な心を、ここではひらがなでこころとする)をもたらすと考えられていた。心臓という名称はその名残でもあろう。しかしながら、現在の医学を持ってすれば、心臓にはこころがないことが明らかである。こころは脳によってもたらされる脳活動の振る舞いが産み出す現象である。こころが産まれる前の意識の座の存在については、未だ解明されてはいないものの、心臓がこころを産み出す臓器であると述べる人は、現代ではほとんどいないであろう。そのため、心臓にはこころがない、といえる。
 一方、心臓は英語ではheartとなり、カタカナではハートとなる。heartは古英語ではheorteとなり、ラテン語の cord- と同じ語源を持つ単語となる1)。そのラテン語での cord-の意味はこころであり、さらにその古い起源を探ると、インドヨーロッパ語族の語形であるkerd-という語が、ラテン語の cord-、英語の heart へと移り変わってきたとされている1)。このことから、ハートにはこころがある(図)、といえる。同じkerd-を語根とするcardiacも英語であるが3)、こちらの方が臓器としての心臓の、となる。よって、物質的にはcardiacで、精神的にはheartとなるであろうか。さらに、英語ではheartとともに、mindという単語もある。ただし、こちらは記憶といった意味から始まっている4)。すなわち、mindはheartよりもどちらかといえば、脳活動に近いニュアンスがあろう。これを裏付けるように、愛情や勇気など感情面に重点を置いた場合は、heart、頭の働きや知力に重点を置いた場合は、mindとされ5)、英語においてはheartとmindには明確な使い分けがあるようである6)。
 ここで、主眼を単語から音楽に移すと、AOR(Adult Oriented Rock)という音楽ジャンルを築いたアーチストに、Bobby Caldwellがいる。彼の名曲の一つに「Heart of Mine」がある。こちらは「Heart of Mine」であるが、「Mind of Mine」とはならない。Bobby Caldwellの「Heart of Mine」の歌詞7)を見ると、

Oh love plays cruel games (愛は残酷なゲームだね)
I can't believe she'd found another to love her (彼女がほかの誰かを見つけたなんて信じられないんだ)

とある。このことからも明らかであるが、Bobby Caldwellは、知力ではなく、愛情の感情面に重点を置いて歌詞を書いた。ゆえに、「Heart of Mine」(僕のこころ)が正しい意味となる。



図 こころのあるハート2)



1) http://www.asahi-net.or.jp/~hi5k-stu/bbs/bbs9907.htm (閲覧2017.6.28)
2) https://www.sozai-library.com/sozai/5269 (閲覧2017.6.28)
3) http://ejje.weblio.jp/content/cardiac (閲覧2017.6.28)
4) https://oshiete.goo.ne.jp/qa/8161912.html (閲覧2017.6.28)
5) http://www.kenkyusha.co.jp/modules/08_luminous/index.php (閲覧2017.6.28)
6) https://okwave.jp/qa/q8161912.html (閲覧2017.6.28)
7) https://ameblo.jp/djbabyt/entry-10722704312.html (閲覧2017.6.28)

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