題名:特筆すべきこと
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
それが、15の夜。だとしたら、16の夜はどうなっているのだろうか。こんこんと湧き上がる泉のように、とめどなく溢れだすそのひらめきは、こぶちゃんとの宇宙への旅に想いを馳せる。そうして、15から16にかけて僕に劇的な変化が訪れた。イロン・ナーシ氏がモモチ・コーポレーションを訪れ、しばらくこっちに滞在し、事業での開発について大いに会合する。そういうことであった。
ナーシ氏:「ドーモ、ハジメマーシテ。わたくし、イロン・ナーシというものです」
父:「モモチ・コーポレーションの二代目代表取締役、百智信忠です。こっちはいずれ三代目代表となる当会者の若頭、百智信吉です」
僕:「ヨロシーク」
ナーシ氏:「おーーー、ノブロシ殿。カタカナ英語、うまいですねー」
僕:「まーね、サンキュウゥ」
そうして、会合を重ねた。僕は、まだ、当時15の夜だったが、オレンジジュースで乾杯し、いい感じにほろ酔いになっていた。
こぶちゃんとの夢、月の砂漠を一緒に歩く。もはや、目の前に実現しているかのように、現実味を帯び、ナーシ氏のMoon Town計画の話に夢中になっていた。
父は、やがてナーシ氏と事業の根底を成すであろう月世界への輸入・輸出の話題について、毎夜ナーシ氏と深く議論を重ねていった。議論中の父は、かつて月の裏側を透視したこともあるその霊力をフルに発揮していたのだろう。ナーシ氏を見ると、その霊力の神秘にしばし聞きほれているかのように見えた。さらに、ここにおいて、僕は、特筆すべきことも発見できた。それは、僕の意見についても、ナーシ氏は聞きほれることがしばし見られた、ということだ。そうだ、僕にも母、伊辺留村のシャーマンである母からゆずりうけた特殊な霊力、さらには、10歳の時のこぶちゃんとの出逢いによる神秘的な啓示力、Createが備わっている。そう確信した。
そして、留まるところをしらない僕のひらめきに対して、ナーシ氏は、「おーーー、すばらしいーーー。まさに、ノブヨシ殿のその提案、異論なーし」と連発するようになった。
会合を重ねつつ、ナーシ氏の滞在中の時を挟んで、ついに僕の誕生日となる日がやってきた。15から16への移り目。誕生日のケーキをつつきながら、こぶちゃんとの計画をこの時とばかりにナーシ氏に伝えた。
ナーシ氏にこぶちゃんを紹介し、動物の宇宙服の開発、そして、宇宙への移住、新時代のノアの箱舟、その一部始終の未来図について、僕たちは語りあった。
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