題名:永遠に死に続ける
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
その動物は、僕が愛したあのラクダのこぶちゃんに間違いなかった。やっぱりこぶちゃんスペシャルの宇宙服に身を包んだその動物は、ラクダで、こぶちゃんだった。でも、僕が知っているこぶちゃんと違って、随分と変わってしまっていた。生気がなく、うつろな目元で僕を見た瞬間、一瞬、昔のあの生気溢れるこぶちゃんに戻った気がしたが、その後再びうつろな目をしていた。エサをあげても、死霊のように果てしなくぼんやりとしている。
もはや飼料は意味をなしていなかった。もぐもぐと単純に口を動かすこぶちゃん。ンゴォォ…とか細く鳴く。
「ンゴォォ…」
こぶちゃんを埋める前に、葬った後に、僕はいったい何を夢見たのだろうか。
ぴっくっと動いているこぶちゃん。
瀕死のこぶちゃん。そして、僕の成長は止まった。
僕は無意識に管に手を伸ばした。そして、それを引っ張り、宇宙服から抜いた。ぶゅーっと音がして液体化した香料メランジがあたり一面に飛び散った。
ツキオ:「ノブヨシくん。なにやっとんのや」
ツキオが止めに入った。僕はぼっとーしたまま管を握りしめていた。あたりに散らばり続ける液体化された香料メランジ。
僕:「あはっ、あはっ、あははははは…」
笑いが止まらなかった。もう僕にはCreateなんてないんだ。想像も創造もまったくないんだ。
ツキオ:「殺ラクダ罪や。君は、殺ラクダ罪や」
液体化された香料メランジに浸っていないこぶちゃんは、その体が次第に縮みはじめ、急に老化が進んだ。そして、どろどろと体が溶け始めた。
永遠に生き続ける。でも、これからもう、こぶちゃんは、永遠に死に続ける。
安心して。僕が葬ったから。
死が永遠を分かつその時まで、僕も永遠に死に続ける。
永遠に…。
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