地底たる謎の研究室

3000km深から愛をこめて

時間は逆行しない



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:時間は逆行しない
報告者:ダレナン

 本物語は、この物語の続きです。

 僕は時折、心の声に耳を澄ます。そして、澄ました後、済ました様に、その思念が心に住ます。須磨須磨して、スマスマしている瞬間だ。そういえば、そういう番組もあったなー、と回顧する。そうして、蚕は糸を紡ぎ、あゝ野麦峠になる。ゝ…? 紡いで紡いで、ツムツムだ。そういえば、そんなゲームもあったなー。
 そうしてスマスマした心の声は、乖離があるのか? と常に問う。それを問う分けであって、糖分の摂り過ぎは、体には良くないと分かりつつも、その気持ちもお菓子を前にするとついぞ通り過ぎてしまう。その関連性は、泣き西もあらずだ。
 東西南北、西東。やがて、日は西から昇り、東へと沈む。東へと沈んだその夕日は、しっちゃかめっちゃか。支離滅裂とはこのことだろうか。文が、文が、何とも言えず、わけわかめだ。
 スーパーで泣く泣く買った生しょうが入り手もみ若鶏もも竜田揚げは、実に美味かった。妻のシズコもとても満足そうだった。でも、シズコに買ったはずのビンのバドワイザーは、僕がベンチで飲んだせいで、もうここにはない。そのことをシズコにのび太のように詫びた。詫びたくん。
「別にいいよ。それよりダリオくん、あんまり飲み過ぎないでね」
 優しいその声に、「うん、分かってる」と素直に答えることが出来た。どういう状況であれ、相手の事を気遣い、相手の心を推し量り、そうして出る言葉にはいたわりがある。それは、まさに、きょえー、あちょーとカラテ家がするあの板割りのようにパリんとこだまする。じゃけん、水割りもええが、やっぱ最近はもっぱらビールだった。その一口のために僕(私)は生きている(ただし、二十歳以上です)。
 これは名言だ。ただし、二十歳以上です、実に名言だ。何よりも、何かあったときは、これに限る。そうして、気持ちを落ち着け、ほっと一息をつく。でも、精神的に荒れている時の、これ、は逆効果だ。それも分かっている。わっかっちゃいるけどやめられねー。そういえば、そういうフレーズもあったなー。これ何だっけ。
 でも、どんなに望んでも時間の針は逆行しない。常に時間は、前へ前へと進んでいく。気づくと、Come Back To Meは、随分と昔だったことを改装した。リフォームするJanet Jackson、今でも大好きな人だった。
 かつて地上には恐竜がいた。それは本当なのだろうか。化石があっても、それは本当なのだろうか。そう思うこともある。なぜなら、時間は逆行しないから。
 その化石は、地球が、地球という神が創った、噛み噛みじゃないのか。地球さんが、生しょうが入り手もみ若鶏もも竜田揚げを噛み噛みして、ぺっと口から放り出した、ただのまやかしなのじゃないのか。
 たまごとニワトリ、どっちが先なんだ。どっちが先なんだ。
 そうだった。エイヒレを買ってある。
 食事後のつまみとして、火であぶり裂き裂きしたエイヒレを、シズコに渡した。
「ビンのバドワイザーないけど、エイヒレをあぶって裂き裂きした。マヨネーズもトッピングした。これどうかな?」
 「ダリオくん、いつもありがとう」
 妻の笑顔が見えた。でも、その後に
「エイヒレ食べながら、バドワイザー飲みたかったな…」 そうつぶやいていた。



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