題名:嫌なフラッシュバック
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
上司の手の中にびくびくとうごめいている僕の心臓。彼を取り囲んで、倒れている僕を皆は冷ややかに見降ろしている。血が滴る心臓を上司は口へと運ぶ。まるで僕が死ぬことを喜んでいるように、彼はにやりと笑いながら、僕の心臓にむしゃぶりつく。意識が遠のき始める。
(知ってるよ。あなたは僕が死んでくれたほうがありがたいんだろ。僕のようにのろまで何もできない無能な奴は、あなたにとっていないほうがありがたいんだろう。でも、僕はあなたに確認しながら仕事を進めて来たじゃないか。それを今更、僕のせいにするなんて。僕のせい…?
お前が〇ねよ。貴様が〇んでしまえ、クソな貴様など〇んでしまえ)
それ僕の声を知ってか、今度は彼の手から別の女性の手へと僕の心臓が渡れされる。その女性の顔は僕はよく知らない。見たことない人だ。これは一体誰なんだろうか。その人は渡された心臓を手でつぶし、平べったくなった状態でぼりぼりとかじり始めた。そして、くちゃくちゃと口の中で僕の心臓を咀嚼した後に、ペッと吐き出す。その人の顔にはまずい、こいつは仕事ができないと書かれているかようだった。
(えっ…、僕が何かわるいことした?…。お前らの言いなり通りに努力したじゃないか…。努力してきたじゃないか…。会社をつぶしたのは僕のせいじゃないだろ…、僕のせいだけじゃないだろうが….)
吐き出されて次第に、目の前が暗くなり、僕の視界から光が失われる。そのまま、僕は意識が吹っ飛ぶ。自己システムが強制的に彼らによってシャットダウンされたかのように、僕は何かの電源が切れた。事切れた。
無意識に寝言でうわーと叫ぶ。無意識に僕は舞衣子を求める。
僕の叫び声を聞きつけて舞衣子が跳ね起き、ソファーのあるリビングまでやって来る。僕の顔を心配そうに覗き込んでいる。僕は、頭から体にかけてぐっしょりと濡れている。大量の冷汗を全身にかいている。
舞衣子:「すごい叫び声が聞こえたけれども…、大丈夫…?」
平十郎:「ごめん。どうやら昔のイベント会社時代の嫌な夢を見ていたみたい…だ」、冷汗がとまらない。
舞衣子:「落ち着くために、コーヒーでも持ってくる…?」
平十郎:「うん、ありがとう」
この日を境に、僕はイベント会社時代の嫌なフラッシュバックが繰り返し、起こるようになった。
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