傾いた世界と傾いた正解



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題名:傾いた世界と傾いた正解
報告者:ダレナン

 人の人生は、人一人で成り立つものではなく、誰かからの影響により左右される。その影響がよいものであればよいが、そうでない場合もしばしばである。そのため、確固たる自己を持つことが大切である。しかしながら、決して「自分は傾いていない。」と判断しつつも、微妙に受ける人からの左右される影響は、その判断を鈍らせる。ここに一つの例を挙げるとすると、とりあえず図1を見てもらいたい。どちらの線がより傾いて見えるであろうか。多くの人は、「右側の線の方が傾いている。」と判断できるであろう。「その通りである。右の方が傾いている。それで正解である。」と言いたいところであるが、よく見ると、実は平行である(ただし、よく見ても右の方がより傾いてみえる)。これはただの線であるが、これをピサの斜塔の写真(図2)にて提示したのが、カナダのMcGill大学のFrederick Kingdom博士らである。彼らは、この現象をThe Leaning Tower Illusion(斜塔錯視)として名付けている1)。

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図1 傾いた二つの線

また、この錯視の発見により、2007年の“Best Visual Illusion of the Year”でも優勝に輝いている2)。筆者はこれにあやかり、実際に斜塔の写真ではなく、ただの線を使うことでも同様の効果があるのかをここで試したのであるが、図1を見ても、図2と同じような効果があることが確認できた。
 このようにして見ると、先の図にある二つの線で作られた平行な世界でも、人は見方によって傾いた正解を導きだすことが容易に起こり得る、ということが示唆されるのである。錯視は、その文字通りで視たものを錯(混乱)させることに相当するが、これが人から及ぼ

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図2 Kingdom博士らよる斜塔錯視2)

される影響として捉えると、傾いた二つの線の世界は、やがて策略(錯略)へと陥るのかもしれない。そのことから判断すると、多少の傾きはヨシとして、「自分は傾いていない。」と強固に突っぱねるよりも、「多少は影響されたかもしれぬ。」と悠然と構える方が、人の見方(視方)の摂理に贖わずに済むのであろう。

1) Kingdom,FA., et al.:The Leaning Tower illusion: a new illusion of perspective. Perception 36:475-477, 2007.
2) http://illusionoftheyear.com/2007/05/the-leaning-tower-illusion/ (閲覧2016.10.3)

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