地底たる謎の研究室

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飛行船の黄金時代を支えたグラーフ・ツェッペリンの性能



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:飛行船の黄金時代を支えたグラーフ・ツェッペリンの性能
報告者:ログ

 本記事は、この記事の続きです。

 先の記事で大型飛行船の実用化への立役者である1838年~1917年に活躍したフェルディナント・アドルフ・ハインリヒ・アウグスト・フォン・ツェッペリン伯爵について報告し、さらに、その後を継いだフーゴー・エッケナー博士による大型飛行船のグラーフ・ツェッペリンについて報告した。ここでは、そのグラーフ・ツェッペリンの性能を振りかえりたい。
 グラーフ・ツェッペリンは別名LZ127となる。先の記事にてフェルディナント・アドルフ・ハインリヒ・アウグスト・フォン・ツェッペリン伯爵が設立したツェッペリン飛行船製造有限会社における第一号飛行船がLZ1であることを示したが、このLZという記号はその会社における製造番号を示す。ただし、LZ72(ツェッペリン製造番号ではLZ42)以降は、製造番号に30を加えたものとなったことから1)、LZ127は実質97番目の製造となる大型飛行船である。この飛行船の完成披露宴が1928年7月8日に行われ、その時、伯爵の令嬢であるフォン・ブランデンシュタイン・ツェッペリン伯爵夫人が、このLZ127をグラーフ・ツェッペリンと命名した1)。このことから、LZ127はグラーフ・ツェッペリンとも呼ばれる。初のフライトは、1928年の9月28日である2)。今から89年前のことではあるが、当時は大いにこの飛行船が話題となっていたことには間違いないであろう。
 この飛行船の外観を図に示す。人との大きさの対比からかなり大きいことが推測できる。その大きさは、ゆうに全長235.5m、最大直径30.5mである1)。ちなみに、船体のガス体積は75000m3、搭載していたエンジンはマイバッハLV2水冷12気筒560馬力エンジンを5基、最大速度は128km/hである1)。 



図 グラーフ・ツェッペリンの外観2)

 このグラーフ・ツェッペリンの骨組みは、ジェラルミン、すなわち、アルミニウムと銅、マグネシウムなどによるアルミニウム合金の一種から成り、通常のアルミニウムよりも破断に強い合金で作られている3)。このジェラルミンに関しては、特にアウトドア関連が好きな人ならよく分かると思われるが、テントの骨組みにも用いられ、耐風性能のよいテントほど用いられている素材である。近年は超々ジュラルミンなる素材もあるが、89年前は飛行船に最もふさわしい骨組みの素材がこのジェラルミンであったことに相違ない。
 グラーフ・ツェッペリンの性能は、その当時、旅客用飛行船として世界のほとんどの地域の空を翔破し、1929年には世界一周も実現していることから1)、非常に優れていたことが分かる。先の記事でも述べた大型飛行船のヒンデンブルグ号の事件がなければ、今の時代の空でもこのような大型の飛行船が、有効に旅客として利用されていた可能性を思うと、少々残念でならない。

1) 牧野光雄: 飛行船の歴史と技術. 成山堂書店. 2012.
2) http://www.airships.net/blog/graf-zeppelin-september-18-1928/ (閲覧2017.8.30)
3) https://ja.wikipedia.org/wiki/ジュラルミン (閲覧2017.8.30)

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