地底たる謎の研究室

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「笑う門には福」来るの背景理論


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題名:「笑う門には福」来るの背景理論
報告者:ダレナン

 本記事は、基本的にこの記事の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 先の記事にて「顔は性格を映す鏡」であるの背景理論を探り、脳内の機能との関連を調べた。本記事では、おなじことわざであるが、「笑う門には福」来るについての背景理論を先の記事にあわせて論じたい。
 人相学は、その通りで人の顔から性格を判断する学問であり、今はまだ正確な科学的な根拠が得にくいことから、占いとしてもまかり通る(この記事も参照)。だたし、Alexander Todorov博士らの研究から、人の顔から何らかの判断も得られることも事実である(この記事も参照)。その一方で、博士らは、顔に基づいた帰属(性差や文化の特性、類似性などの情報から)の社会性を厳格に評価することは難しく、多くの研究では、これらの帰属の妥当性を誇張しているとも論じている1)。すなわち、科学的に追及しても、人相のみですべて判断することは難しいことを示している。ここに人相学の限界があるのであろう。
 一方、人の顔を見て性格を判断するのは、表面から内面を推定することに相当し、内面の性格が表面の顔に現れる可能性は、先の記事でも示した。ただし、性格に表裏がない場合、所謂詐欺師とかではない通常の人ならば、表面から内面への反映は、実は科学的にも検証が得られている。その時、顔は、心への鏡、となる。
 ドイツのマンハイム大学(当時)のFritz Strack博士ら2)は、漫画を読む際の表情に注目して研究を行った。その内容は、漫画を読む際に、上下の歯で鉛筆をくわえた微笑んだ顔群と唇のみで鉛筆をくわえた不満顔群とに分け、それが内面にどのような影響を及ぼすかを比較したものである。その結果、漫画を面白いと感じたのは、前者の方であったことが報告されている1)。すなわち、微笑んだ表情を持って漫画を読んだ群は、幸せな気分が多くなり、その漫画を面白いと感じやすかったことが報告されている1)。
 アメリカの心理学者であったWilliam James博士とデンマークのCarl Lange博士は、情動に伴う身体的な変化ではなく、身体的な変化が情動を変化させることに早くから気付き、それをジェームズ=ランゲ仮説、あるいは、表情フィードバック仮説として1880年代ごろには唱えていたが3)、「笑う門には福」来るの作用は、この表情フィードバック仮説を支持するものである。守秀子博士4)もこの仮説に基づく研究から、「能動的にせよ受動的にせよ、「笑顔」を作ることは良い感情を引き起こすことにつながる」という結論を得ている。
 人の顔を初めて科学的に研究したのは、「人及び動物の表情について」を記したCharles Darwin博士その人になるが、Darwin博士も「笑う門には福」来るの作用に気付き、実は図のように常日頃から努めていたのかもしれない。



図 Darwin博士の笑顔4)

1) Todorov A, Olivola CY, Dotsch R, Mende-Siedlecki P: Social attributions from faces: determinants, consequences, accuracy, and functional significance. Annu Rev Psychol 66:519-45, 2015.
2) Strack F, Martin LL, Stepper S: Inhibiting and facilitating conditions of the human smile: a nonobtrusive test of the facial feedback hypothesis.J Pers Soc Psychol. 54: 768-77, 1988.
3) 守秀子: 「笑う門には福来る」 表情フィードバック仮説とその実験的検証. 文化学園長野専門学校 研究紀要 5: 61-66, 2013.
4) http://www.nationalsmilemonth.org/smile-psychology/ (閲覧2018.2.6)

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