地底たる謎の研究室

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夢世界からの永続的な経験 -シームレスな呪術を巡って-


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題名:夢世界からの永続的な経験 -シームレスな呪術を巡って-
報告者:ダレナン

 本記事は、基本的にこの記事の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 先の記事にて「夢世界も現実世界も、永遠はないと知りつつも、永遠(愛)を求める。」として締めくくったが、ここではその永遠(愛)が永続される経験として価値を生み出していたかもしれない夢世界について論じたい。なぜなら、かつての人類にとって夢世界と現実世界は分断されるものではなく、そこにはシームレスな繋がりがあったからかもしれないことを、ふと思えた、ことによる。
 進化心理学的な立場から、過去の人類にとって、夢世界はある種、驚異のシミュレーション機構として働いていた可能性については、ここの記事に示した通りである。そのため、現実世界において未来の永劫へと続く、今をよりよいものとするためには、夢世界の案内を欠かすことが出来なかった。それは、今で言えば、お告げとも呼べる存在であろうか。すなわち、これを放棄することは種の存続を放棄することにもなり、多くの夢世界を提示し、現実世界でのより善き道を案内とすることが出来るような人物は、特殊な能力を持つ人物として崇められていたに違いない。邪馬台国にいた卑弥呼もそのような人物であったことが推測される。ここの記事でも示した「夢先案内人」は、まさに、呪術的な世界ともシームレスに繋がる。面白いことに、「夢先案内人」を歌った山口百恵さんは、神格化を最も効率的に成し遂げた人物の一人でもあり1)、同じく現代で問えば、先頃引退した安室奈美恵さんも、神として崇められていたのは、記憶に新しい。
 そのシームレスな呪術的な世界において、夢世界は2つの役割を持つ。一つは夢告、もう一つは霊告である2)。夢告は、御霊信仰の対象となる雷神という神格化された絶対性があり、そのような夢告は神のお告げに近い霊性を持つ2)。もう一方の霊告は、物の怪が憑依し、苦しめることによって要求を出すお告げとなる2)。
 古から、夢自体については日常生活に影響を与え、それが将来を予示するものと捉え、吉兆なら大きな期待を抱き、凶兆ならその内容によって潔斎(けっさい:心身を清める行為)し、忌籠もり(いごもり:こもって外部との接触を断つ行為)し、寺社に読経(どきょう:声を出してお経を読む)、祓除(ばつじょ:神に祈ってけがれや災いなどを払い除く)等を依頼することが通例であった2)。その現実の人知の及ばぬ神秘性とそれへの畏怖心から、御霊信仰(永遠の愛)となる夢告を受け容れる普遍的な社会性があった2)を元に()内は筆者による。それは、源氏物語でも見られ、物語の展開から、重要人物の生を搦め捕る(からめとる) 規制として働き、夢告を実態のあるものとして受け止める2)。そして、個人のみならず多くの人間の言動を規制する手段として託宣(神託。神のお告げ。神が人に乗り移り神の意志を伝えること)される2)。
 しかしながら、現在はもはや呪術的な世界とはシームレスではなくなり、夢世界と現実世界が分断された夢のない世界とも言える。現実的な対応に追われ、呪術的に夢見することも少なくなる。それゆえに、脳内における第三の目の座でもある松果体(図の赤部分)が石灰化されたのは、やむを得ない進化の流れでもあろうか(この記事も参照)。



図 松果体3)

1) http://www.reviewanrose.tokyo/article/440588783.html (閲覧2018.11.13)
2) 藤本勝義: 霊による夢告の特性: 源氏物語の夢想を中心に. 日本文学 54: 47-55, 2005.
3) https://ja.wikipedia.org/wiki/松果体(閲覧2018.11.13)

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