地底たる謎の研究室

3000km深から愛をこめて

アマゾン川の支流で示された「モン・ファボリ メープルシロップ 250g」



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:アマゾン川の支流で示された「モン・ファボリ メープルシロップ 250g」
報告者:ダレナン

 本記事は、この記事の続きです。

 ナスティアか、ナスターシャか、よく思い出せないが、たぶんナスティアだと思う。彼女は、「赤いのは生きている証拠よ。だってそうでしょう。血も赤いですもの。」と言ったか、どうか、も思い出せない。そうして、ヘモグロビンは、今日も運ばれる。そうして、鉄分でもって、ヘモグロビンはぴったりと寄り添う。「そうだったね。ナターシャ、いや、ナスティア。よく忘れてしまうよ。いつもごめんね。だんだんと、頭の中が、ヘモグロビンで満たされていくのが分かるよ。そもそも、脳の中には、血液はないんだっけ。それすらも思い出せない。ナターシャ、いや、ナスティア。」。
 いつも、いつも、間違えても、笑顔で、微笑んでくれた。そう、彼女は、ときどき、その目線でどきどきさせる(図)。が、そのどきどきは、ヘモグロビンが、鉄分が、心臓へと運ばれている証拠なのかもしれない。「ナスターシャ、いや、ナターシャ、いや、ナスティア。いま何時だっけ。」
 「今? 夜中の12時よ。」
 「そうだね。」
errorとなる頭の中は、「do you love me」を連呼する。「ナターシャ、いや、ナスティア。do you love me?」。「Yes, I do love you. アンジュー?」。「イエス。マイらぶ。マイはに~」。それは、はちみつにも似て、とても甘い会話なのだ。
 「ねぇ、ケンジ。私、はちみつよりも、こっちの方が好き。」。そうして、彼女のスマホをのぞくと、そこにはアマゾン川の支流で示された「モン・ファボリ メープルシロップ 250g」があった。カナダ・ケベック州産の100%ピュアメープルシロップで、原材料は楓の樹液のみの無添加食品、保存料や着色料は使用していなかった2)。
 「いいね~。じゃ、こっちにする? マイはに~」
 「うん。お願い。はーと」。
 朝になり、超速のアマゾン川でもって、すでに「モン・ファボリ メープルシロップ 250g」を手に入れた。ただ、ただし、「モン・ファボリ メープルシロップ 250g」は、あわせ買い対象商品、なのだ。ないしょのないしょで、「愛するということ」も買ってある。そうして、「愛は本質的には、意志にもとづいた行為であるべきだ。すなわち、自分の全人生を相手の人生に賭けようという決断の行為であるべきだ」3)ということを学ぶ。それは、ここから続く、彼女へのI Love You.であり、いつも「Thinking Of You」として、ナスターシャへの愛なのだ。
 「ナターシャ。愛しているよ。」
 「また、間違えてるよ~。はーと」



図 ナスティアちゃん1)

1) https://www.yegorov.co.uk/red (閲覧2019.4.29)
2) https://www.amazon.co.jp/モン-ファボリ-モン・ファボリ-メープルシロップ-250g/dp/B004P0REA0/ (閲覧2019.4.29)
3) エーリッヒ・フロム: 愛するということ. 紀伊國屋書店. 1991.

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