題名:愛の頂きに辿りつけていない以上
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
アサリ:「で、兄ちゃん。山行くのいつから?」
「今度の週末かな…」
アサリ:「週末、かなり天気悪くなるみたいだけど、また独りで登るの?」
「もちろん、ソロで」
アサリ:「ふーん」
サヨリ(カツオの母):「気をつけなきゃだめよ、カツオ。あっ、そうそう、ソウハチ伯父さんから、超特大ずわい蟹(図)をいただいたのよ。今晩、食べる?」
アサリ、コンブチャン:「食べる、食べる」
「でも、これ羽合沖じゃなくて、カナダ産じゃ…」
サヨリ:「カツオも細かいこと気にするのね…。いいじゃない、別に。三文ストーリーなんだし…」
図 超特大ずわい蟹1)
そうして、その日の夜はずわい蟹鍋となった。やっぱり家族で鍋をつつくのは楽しい。
ここのところコンブチャンも、随分と箸の使い方が上手になってきていたことに、ふと気づいた。しゃべるのも、箸の使い方も、コンブチャンは意外にもすぐに習得している。家の家事も、結構、母と連携して、うまく物事を運んでいるようだった。考えてみれば、日本の作法にも、すっかりと馴染んでいた。さらに、この前も、アサリとコンブチャンが街を歩いている時に、「仲のいい姉妹ですねー」と地元の老人にいわれるぐらいに、アサリとも馴染んでいた。その馴染み方に、コンブチャンは、いったいどこの国の人なんだろう、と、不思議に思えた。
でも、未だにコンブチャンは、過去の記憶が思い出せない。もし、仮に、いずれ思い出したとすれば、イソベ家からいなくなるのだろうか。そうすると、母もアサリも相当に悲しむかもしれない。アサリがいうように、コンブチャンを嫁さんにすれば、それが解決できるのだろうか。いや、身元も分からない、もしかしてコンブチャンはすでに結婚しているかもしれない。
そもそも、愛の頂きに辿りつけていない以上、僕は、琉花と晴美さんへの想いを忘れるべきではない(この物語)。山が呼んでいる。今日もまた、愛という山が、僕を呼んでいるのだ。
サヨリ:「カツオ。最近、仕事はどうなの。ソウハチ伯父さんとうまくやってる?」
そう、たらちねの母はいう。たらちね…?(*)
*たらちね: 「母」あるいは「親」にかかる枕詞2)。
1) https://store.shopping.yahoo.co.jp/morigen/a4baa4efa4.html (閲覧2020.2.19)
2) https://schoolsips.exblog.jp/4996411/ (閲覧2020.2.19)
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