題名:それは横線だ身体
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
「で、でも、伯父さん。彼女とはデートでなくて..」
「いっつも仕事場では伯父さんと呼ぶなっちゅーてるやろ。組合長や。伯父と言えども組合長や。そう呼べ。カツオくん、いつまでも子どものままやったら、あかんで」
「すんません。組合長…。彼女、実はハワイ海水浴場の浜辺で倒れっとったんです。そこで、病院へ連れてったんです。妹といっしょに…」
「ほー、そうなんや。でも、うちの嫁はん(病院のナース)、めざといからな。嫁はん、ついでにこう言っとたで。「その子(コンブチャン)がカツオくんを見る目、尋常じゃなかった…。なんか怖かったわ」とな。それでな、てっきり、またかいな、またカツオくんがどっかでこました彼女か?と思ってたわ。わっはっは」
うちの父が、漁師一筋やったから、伯父さんはいつも僕のことを遊び人だと勘違いしている。過去には父がいない、母も夜仕事でいない、そんな家庭に荒れに荒れて、とっかえひっかえ、のころはあったけれども、今は至って真面目だ。コンブチャンへの想いも、単純に人助け。よこしまな、たてしまな、そんな気持ちはまったくない。だから、勘違いしてもらいたくなかった。よく見てみれば、それはただのよこせんだからだ(図)。それは横線だ身体。
豪快に笑う伯父を見て、つい、チッ、っと舌打ちした。すると、伯父が言い放った。
「なぁ、カツオくんや。父さんのこと、まだ引きずっとるのか。そらな、組合として当時、マグロ(伯父の弟、僕の父のこと)を行方不明にしてしまったのは、伯父のおれの責任でもある。あの日、なんとしてでも漁に出るのは止めればよかったんやけんど、マグロはあの日に限って言うこと聞かへんかったのはもう知ってるやろ。サヨリさん(僕の母)が止めに止めても、マグロのやつ言うこと聞かへんかったんや。あんなこと一度もなかった。おれにもそれが、なんでマグロがそういう行動に出たか、一向に分からん。今でもな」
図 横線1)
「組合長、そのことは充分に分かっています」
1) https://www.pinterest.jp/pin/605241637408006001/ (閲覧2020.1.24)
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