題名:テンキュー&ザ・ありがとうございます
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
雪洞の中は、意外と温かい。外からの風雪の音が聞こえるも、ここの中では皆無だった。ふと耳をかざすと、外では酷評の風雪が舞っていた。でも、それは、もはや僕には聞こえないものとなっていた。ラーメンを食した後、二十歳以上の飲み物を(ウィ、スキー、るか、だいスキー)、と滑走するこころの中で、逆に外のその風雪の音が心地よく感じられた。きっと、読者さまは、僕を、応援してくれている。そう、感じた。
(読者さま:勝手やな―。そんなつもりはねーのに…)
(いや、そのつもりでいてくれ。読者さま、まいべいべー)
(読者さま:まっ、そんな風にいわれれば、ちょことは、応援したるか…ってな感じやで…)
(テンキューZZZZZ…)
僅かばかり、それとも深く眠っていたせいだろうか。ふと気がつけば、ツエルトの隙間から太陽の恵みが輝いていた。
夜明け。
昨日とうって変わって良い天気に恵まれている。雪面もきらきらと輝く。これも、読者さまのおかげだ。
(読者さま:そういわれると、照れるがなー)
雪洞から顔を除くと、目の前には頂きがまじかに迫っていることが分かった。頂きまでもうすぐだ。
幸いなことに、右足に激痛は治まっている。多少の痛みはあったが、昨日ほどの激痛ではなかった。
息を吸い込みながら、「ギュッギュッ、クランポンが覆っている雪を噛み」1)を一部改つつ、「僕は感情の波にのみ込まれ、雪面にひざまつ」1)を一部改いた。
そうだった。「僕は数年にわたって、肉体的にも、心理的にも、長々と旅してきた。自分を十分に強くしようと努め、自分がこの目標にふさわしいだけの勇気を備えているかどうかを見極めようとしてきた。そんなすべてが、この一瞬に収斂」1)し、そして、僕は、ついに頂上に立った。琉花と晴美さんとの愛の頂きという目標に登頂したのだ。
胸のポケットから貝殻の化石を取り出し、キスをした。その時、たまたま、バックにTender Kisses(図)が流れていた。Tracie Spencerの。これは偶然ではないはずだ。そうして、アルバムMake The Differenceを、またも、カートに入れてしまって、(ご購入)ありがとうございます、と言われた。アマゾンに。
図 Tender Kisses2)
1) スティーヴ・ハウス: 垂壁のかなたへ. 白水社. 2012.
2) https://www.youtube.com/watch?v=SX7OKT5t4jE (閲覧2020.3.2)
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