地底たる謎の研究室

3000km深から愛をこめて

“点検”



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:“点検”
報告者:ダレナン

 本物語は、この物語の続きです。

 (ハバド氏の宇宙移住計画にはこのスーパーGも含まれていた。きっとそうだ)
そこでMoon人に尋ねてみた。

僕:「スーパーGは、ハバド氏の新新時代のノアの箱舟のリストにも挙がっていた。そういうことでしょうか?」
Moon人:「そうやで。さっきの袋とじの動画でハバド氏が言っていた言葉、君、覚えとるか。牛(ぎゅう)、豚、ニワトリ、それだけでは動物だけでは生態系が潤わんっといっておったろ。そこにヒントがあるんや」
「と言いますと…」
「そうや、ゴキブリもその移住のリストに入っとったんやー」

 Moon人は、やや大きめの声で僕を威圧しているかのように思えた。が、一瞬、目の前のMoon人の顔に影が過ったような気もした。同時に、宇宙船を操作していた他のMoon人もこの時、こちらを微妙に振り返った。僕のカンが外れていなければ、何かある。スーパーGには、何か大いなる何か、謎が潜んでいる。

Moon人:「君はこの秘密を知りたいか。スーパーGの秘密を…」
僕:「もちろん」
「よっしゃ」

 Moon人は勢いよくテーブルの上にあるボタンを押した。すると、テーブルにリアルな3Dホログラフィの建物が現れた。建物には、ようこそMoon Town博物館へ、と書かれてある。Moon人は手を差し伸べ、その3Dホログラフィをくるくると操作し、博物館のドアの前で止めたかと思うと、そのドアをピンチアウトとして開けた。すると、今度はそこに室内が現れた。どうやら博物館の室内のようであった。室内には、袖にLes Clé d'or de la Moon Town (Moon Townの黄金の鍵)なるバッジを付けたコンシェルジュらしきミニスカートをはいた美しい人が、すくっと誇らしげに背筋を伸ばして立っていた。

黄金の鍵:「ご用件をおうかがいします。黄金の鍵にございます」
Moon人:「スーパーGに関する動画を、再生してほしいんだが…」
黄金の鍵:「かしこまりました」

 黄金の鍵さんは、腰をかがめ、しゃがみ込み、一つ一つの動画を“点検”していた。しゃがみ込む必要がないように思えたが、これもサービスの一つだろうか。Moon人は、しっかりとスカートの中を“…”している。
黄金の鍵:「スーパーGの歴史、スーパーGの進化、スーパーGの生態とありますが、どれにしましょうか」
Moon人:「そうだな。まずは歴史といくか」
黄金の鍵:「かしこまりました」

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