題名:次元が違う何かが
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
そうして、なんやこの展開と思いつつも、最後まで見終えた映画「デイライツ・エンド」について、僕は3つのことが頭に浮かんだ。
1. ここまでたどり着くだけでも、「デイライツ・エンド」の制作サイドには相当の努力がいること
2. 大学の映画研で、自分たちが創った映像が酷評されたこと
3. そして、その当時、女優だった大貫沙耶ちゃんのナイスバディとその他のこと
映画を製作するには金以外には、撮影、編集、そして演出、それにもまして脚本が重要となる。僕は映画研の時代、主に撮影と編集を引き受けていた。演出と脚本は、友人の夏目創が担当していた。
建築学科に所属していた僕だったが、夏目の後光に押され、僕たちは本当に毎晩のように映画について語り、そして次に作る映画のプロットについて話し合っていた。
夏目の脚本の能力には僕は一目置いていた。なんだか彼の脚本を読むと無性に興奮していたことが、今でも時折、思い出される。夏目は夏目で、僕の編集能力を高く買っていた。
思えば、僕の曽祖父が画家だったことも影響を及ぼしているのかもしれない。父さんはギター好きゆえにミュージシャンを目指していたが、それよりも僕が産まれてからは、「この子は祖父の遺伝子を引き継いでいる」、そう思い込んでいたようで、そう言われた当時、その感性を思い出したこともあった。だから、今でも映像に関しては直感にして勘が鋭いと思う。
夏目は、夏目で、父親が作家だった。いわゆる彼は間違いなくサラブレッドの血統だった。彼の脚本がつまらないわけがない。
大学3年の夏に、僕たちはこの年代に特有の青春を描き出すことを計画した。よくある2人の男と1人の女を巡る群像劇だった。でも、そこには僕たちの特別な思想を加味していた。
それが…である。
だから、僕たちにはこの作品に大いなる自信があった。他にはない…だったからだ。
肝となる1人の女を演じる女優も、始めて学内外のオーディションで選考した。
8人の応募があった。初めてのオーディションは新鮮だったが、終わると僕と夏目は文句なしに3人目の大貫沙耶を選定した。彼女に対しては何だろうか。
もちろんナイスバディにも魅了された。が、はっきり言えば他の7人とは次元が違う何かが彼女には持っていた。僕も夏目もオーディション終了後に、「彼女だね…」と結論が出ていた。
その後、撮影を通してその考えに間違いがないことが次第に分かった。
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