題名:実際はメンブレンですがメカニカルな気持ちでかちゃかちゃと
報告者:ダレナン
(前回の続き)
自分でいうのも何だが、妻の莉奈はとても従順で、絵に書いたような良妻賢母だった。
昔に付き合っていた里奈とは随分違っていた。ただ、あの当時の里菜のことを思い出すたびに、僕の体は無意識に反応し、彼女とすごした日々の記憶で頭の中が占領された。その時の頭の中はまるで第二次世界大戦後のGHQ支配下の日本のようだった。
Made in Occupied Japan 1947-1952
赤い帽子をかぶりさっそうと歩く里菜そして彼女の車はターボ仕様だった。
redhatでturboな里菜。彼女は従順でなくとも、特別な輝きを放っていた。窓際に立っている彼女をスケッチすると、窓からの光が霞んで見えるぐらいに、彼女のオーラが全開していた。
里菜のことを思い出し、体がほてっている。と、その時莉奈は「これでいいの?」と僕に回答を求めてきた。もちろん、莉奈にインストールしたLibraOfficeは落ちることなく、ここでしっかりと感応している。
莉奈:「すごく素敵ね」
僕:「何が」
莉奈:「文章がとってもあなたらしい」
僕:「そうかい。僕自身はよくわからないけど」
莉奈:「うん、爽快なの、とってもいい」
僕:「ありがとう、莉奈」
そうして僕は二束三文を握りしめて、莉奈を抱きしめた。
莉奈はすでに43歳。
莉奈の精神はまだ新しくとも、彼女の体は着実に年月を感じさせた。インストールしたのが随分と古いタイプのPCだったからだ。それでも莉奈はこぎみよく反応し、僕の指にピタリと感応してくれた。
キーボードからは青軸にしてかちゃかちゃと喘ぎ声が聞こえる。
実際はメンブレンですがメカニカルな気持ちでかちゃかちゃと。
聞こえるでしょ、かちゃかちゃ、と。
聞こえるでしょ、かちゃかちゃ、と。
聞こえるでしょ、かちゃかちゃ、と。
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