題名:エチオピアにおけるコーヒーの歴史
報告者:エゲンスキー
エチオピアは、東アフリカに位置する連邦共和制国家である1)。アフリカ最古の独立国および現存する世界最古の独立国の一つとして知られ、サハラ以南のアフリカでは、ナイジェリアに次いで人口の多い国とされる1)。エチオピアの位置を図に示す。図の緑色の地域がエチオピアとなる。
人類の祖先とされるアファール猿人の化石も、エチオピアで発見されているが2)、このことからも推測できるように、エチオピアには古くからの人類の痕跡があり、旧約聖書に登場するシバの女王まで遡ると、エチオピアには実に三千年以上の人類史が存在する3)。また、コーヒーの原種であるアラビカ種もエチオピアの原生林で誕生しており3)、このことから、エチオピアにおけるコーヒーも歴史が長いことが同じく推測される。コーヒーの発見の伝説には2つ3)、または、3つ4)あるとされ、その中でも有力なものが山羊飼いカルディの伝説になり、それによれば、6~8世紀頃にはすでにコーヒーが嗜まれたことが伺われる3)。
図 エチオピアの位置1)
その山羊飼いカルディの伝説を文献3)から引用したい。「エチオピアのカファ地方の小さな村にカルディという名の山羊飼いの少年が住んでいた。ある日、カルディが山羊の群れを連れて草原へ出かけ放牧していたところ、山羊たちが興奮して、飛んだりはねたりし始めた。カルディが調べてみると、山羊たちは、どうやらその辺りに生えているまっ赤な木の実を食べていたようである。カルディは山羊たちの普段と違う様子をみて驚くが、勇気をだして自分もその実を食べた。しばらくすると快い刺激と共に、体中に活気が溢れ始めた。「これは魔法の実に違いない」、そう思ったカルディは、赤い実を摘み取り、近くの修道院に持って行った。修道士の1人が好奇心に駆られてこの実を食べてみた。夜中の祈祷にも眠気が差さず、頭も心も冴え冴えとし、カルディの言ったとおりとなった。しかし木の実は、悪魔の仕掛けた罠に違いないと思った僧侶の手により、火の中に投げ込まれた。しばらくすると、この実から得も言われぬ芳香が漂い始め誰もがこの赤い実のとりこになった。木の実は、魔法の豆、ミサの睡魔から逃れることのできる秘薬としてひそかに僧院で愛用されるようになり、こうしてこの赤い魔法の実は、エチオピアから世界に広がっていった。」3)
現在のコーヒーの栽培は三原種あり、一つは、前述したアラビカ種、もう二つは、ロブスタ種とリベリカ種となる4)。その中でもアラビカ種は、品質価値が最も高く、総生産量の70%を占めており4)、アラビカ種が誕生したエチオピアにおけるコーヒーの重要性も明らかである。しかしながら、国別の生産量で言えば、米国農務省の統計結果から、現在の生産国の第1位はブラジル、2位はベトナム、3位がコロンビア、4位がインドネシア、5位がエチオピアとなり5)、生産国で言えばエチオピアは1位ではない。ただし、コーヒーの扱いに関しては、最も歴史が古いことが、山羊飼いカルディの伝説からも明らかである。
1) https://ja.wikipedia.org/wiki/エチオピア (閲覧2016.8.9)
2) 河合信和: ヒトの進化 七00万年史. 筑摩書房. 2010.
3) 白鳥清志, 白鳥くるみ: 伝説の王国エチオピア. 食器と容器 55: 49-55, 2014.
4) 広瀬幸雄, 他: コーヒー学入門. 人間の科学社. 2007.
5) http://www.agf.co.jp/enjoy/cyclopedia/zatugaku/circumstances.html (閲覧2016.8.9)
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