地底たる謎の研究室

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火星からの脱出速度の計算



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:火星からの脱出速度の計算
報告者:ログ

 先頃、アメリカ合衆国の大統領が、バラク・オバマ氏からドナルド・トランプ氏へとチェンジした。一方、オバマ氏が大統領時代に掲げた計画のひとつに、火星計画がある。記事1)によれば、「2030年までにアメリカ人を火星に送り、「安全に地球へ」帰還させること、および、長期的目標として火星での長期滞在を可能にする」との内容である。トランプ氏へと政権が移行した今後は、この計画がどのようにチェンジするかは不明ではあるが、少なくとも火星に人を送る計画は、アメリカ合衆国だけの問題ではないはずである。この記事にも記載されているように、現在、宇宙開発は熾烈を極め、まさに「火星を制する者は、宇宙を制する。」に違いない。そこで、本記事では、単純に「安全に地球へ」帰還させるための方法の一助として、火星からの脱出速度について計算したい。
 地球から宇宙へ飛び出す際の速度は、およそ11km/秒必要とされる2)。すなわち、ロケットからの噴射に伴う速度が、11km/秒までに至らないと地球圏外へ脱出できないことを示す。ただし、厳密に計算すると、ロケットの積載燃料の減少や空気抵抗なども加味しないといけないが、単純な計算では、およそ11km/秒となる。詳しい計算方法は文献3)にあるが、
1/2 mv^2-GMm/R=0
v=√(2GM/R)

で求めることができる。この上式は、ロケットの運動エネルギーが増せば、万有引力による位置エネルギーを超えられることを意味し、運動エネルギーの式にあるvが脱出速度(宇宙第二速度) 3)となる。mはロケットの質量(重量)、Mは地球の質量、Rは地球の半径、Gは万有引力定数(6.67×10-11)である。ここで、Mを火星の質量、Rを火星の半径に置き換えると、火星からの脱出速度が計算できる。火星の質量は、6.42 ×1023 kgで、火星の半径は3390 kmであることから4)、火星の質量、半径を先の式に代入して計算すると、火星からの脱出速度は、
v=√((2×6.67×〖10〗^(-11)×6.42×〖10〗^23)/3390)=5.02

となり、およそ5km/秒となる。地球よりも重力が少ない分、脱出しやすい。



1) http://jp.techcrunch.com/2016/10/12/20161011obama-says-private-and-public-cooperation-will-get-u-s-to-mars-in-the-2030s/ (閲覧2017.1.21)
2) 嶺重慎: ブラックホール天文学. 裳華房. 2005.
3) http://www.wikiwand.com/ja/宇宙速度#/ (閲覧2017.1.21)
4) https://ja.wikipedia.org/wiki/火星 (閲覧2017.1.21)

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