題名:薬とチョコレートを同時に摂取する実験
報告者:トシ
はじめに
良薬は口に苦しということわざがあるように、一般的に薬は苦いことが多い。一方、チョコレートは甘いお菓子のイメージがあるも、チョコレートの歴史を探ると、アステカ文明においてはチョコラテというカカオを砕いた王などの高貴な人々や戦士の特別な飲料で、ヨーロッパに渡ってからも医薬効果としての飲物とされている1)。すなわち、チョコレートの原型は薬でもある。そのため、現在の薬とかつての薬を同時に摂取することはダブルでの効果が期待できる。このたび、やや風邪気味であることを(都合のよい)理由に、現在の薬とかつての薬(チョコレート)を同時に摂取した実験を試みたので、その印象について、ここに報告する。
方法
現在の薬は、一般的な総合風邪薬であるハピコム アデロンゴールド微粒Aを選択した。ここで微粒を選んだ理由は、水に溶けやすく、口で混ざりやすいことを想定したためである。かつての薬としてのチョコレートは、ブルボン ふんわりチョコバームを選択した。このふんわりチョコバームには、チョコとホワイトの2種類あるが、ここでは、より本来のチョコレートに近いチョコを選択した。実験手順は、まずふんわりチョコバームのチョコ一個を口に入れ、コップ1/3ほどの水(約60cc)を口に流し込んだ後に、アデロンゴールド微粒Aを一袋を口に入れ、同時に摂取するとした。そして、その時の味覚に関する印象を主観的に記述した。
結果
一瞬、現在の薬であるアデロンゴールド微粒Aの苦みがあるが、しばらくして口腔内でふんわりチョコバームのチョコが馴染み始めると、甘みが広がった。そして、本来のふんわりチョコバームのチョコの甘さを控えるように、アデロンゴールド微粒Aに苦みが溶け合い、最終的には甘苦いチョコ味へと味覚が変貌した。
考察
今回、現在の薬とかつての薬(チョコレート)を同時に摂取することで得られた最終的な印象は、甘苦いチョコ味ということになった。チョコレート、特に、カカオ自体は苦い上に、アステカ文明時代では、トウガラシや食紅などの添加物を入れて飲むのが通常であった1)。そのため、当時のヨーロッパ人はこの飲料を好ましく思ってはいなかったようである1)。しかしながら、現在のチョコレートは砂糖が入っているために甘いのが通常である。それに現在の薬を混在させることで、結果として甘いだけでなく苦さも混在した甘苦いチョコ味といった、一種アステカ文明時代にタイムスリップしたかの如く(?)の印象を味覚にもたらした。しかしながら、アデロンゴールド微粒Aの説明書にはないものの、このような同時の摂取の仕方は、明らかに間違った用法でもあろう。風邪気味を治したい、かつ、チョコレートも食べたいという筆者の無謀な試みであることは、追試する方に対して、これは、あくまでも自己責任にて実施した、と伝えなければなるまい。
謝辞: 今回の実験に際して、快く(?)アデロンゴールド微粒A一袋とふんわりチョコバームチョコ一個を提供して頂いた(と思いたい)、米田薬品工業ならびにブルボンには、感謝の意を表したい。
1) 八杉佳穂: チョコレートの文化誌. 世界思想社. 2004.
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