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うんこと肥溜めと便金術から、金のうんこの鉱脈へ


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題名:うんこと肥溜めと便金術から、金のうんこの鉱脈へ
報告者:エゲンスキー

 人は食べ物を食べる。そして、その食べ物はお腹の中(正確には胃や小腸・大腸など)で消化され、そのあと消滅するのではなく、消化されないものが排泄される。それが大便となる。大便を平易に言えば、うんことなる。そのため、これ以後は記事を分かりやすく説明する一助として、大便をうんこと称したい。
 先頃、「うんこ かん字ドリル」なるものも文響社から発売され、ベストセラーとなっていることも久しいが、それだけ人はうんこに関心が高いことをも示している。うんこ、おしっこ(大人的には小便であるが、これも分かりやすくおしっことする)は、小学生から笑いをとる偉大なるキーワードであるが、かつてはこのうんことおしこが肥溜めにためられ、肥料として活躍していたことは、年配の人であれば、よくご存知かと思われる。肥溜めから大きなひしゃくを使ってすくっているような光景は、かつての日本では当たり前に見られた。しかしながら、現在は水洗トイレがほとんどであり、ぼっとんトイレ(正確には汲み取り式トイレ)もなくなり、うんことおしっこの再利用はまずない。
 うんことおしっこの再利用は、言い方を変えると、リサイクルでもある。これを農業に活用することは、循環システムの要でもある。次世代農業の担い手でもあり、この循環型社会の構築を実践する山田浩太氏によれば1)、江戸時代は、農作物の生産者であり肥料の消費者である農民と、農作物の消費者であり同時に肥料の生産者でもある一般の人との間に、消費と生産の持ちつ持たれつの関係があり、リサイクルの輪が成立していたことを指摘している。さらに、下肥(しもごえ: 所謂肥溜めのシステム)は、日本の農業を支える資源となっていたことを報告している。このことから、うんことおしっこは、小学生のキーワードだけでなく、日本におけるかつての農業のキーワードでもあったことが理解できる。笑えても、バカにはできない、というわけである。
 一方、水洗化したトイレに関して話題を転じると、こちらも実はバカにはできない。アリゾナ州立大学のPaul Westerhoff博士らによると2)、下水汚泥中の金属には、年間最大1300万ドルの価値があることが指摘されている。さらに、下水汚泥には13種の最も有益な元素(Ag、Cu、Au、P、Fe、Pd、Mn、Zn、Ir 、Al、Cd、Ti、Ga、Cr)があり、その経済的価値は合算して、280ドル/トンと見積もっている。ちなみに、元素の周期表3)から正式な金属名を列挙すると、Ag:銀、Cu:銅、Au:金、P:リン、Fe:鉄、Pd:鉛、Mn:マンガン、Zn:亜鉛、Ir:イリジウム 、Al:アルミニウム、Cd:カドミウム、Ti:チタン、Ga:ガリウム、Cr:クロムとなる。中には人体に悪影響のある金属もあるが、銀や金、イリジウム、チタンなど比較的価値の高い金属も含まれていることが分かる。すなわち、下水汚泥をうまく処理すると、そこには錬金術ならぬ、便金術として金の鉱脈もあるということになろうか4)。まさに、図のような金のうんこがでる。



図 金のうんこ5)

1) 山田浩太: 「あまった食べ物」が農業を救う ウンコと生ゴミを生かす循環社会. PHP研究所. 2012.
2) Westerhoff, P., et al.: Characterization, Recovery Opportunities, and Valuation of Metals in Municipal Sludges from U.S. Wastewater Treatment Plants Nationwide. Environ. Sci. Technol. 49: 9479–9488, 2015.
3) http://www.gadgety.net/shin/trivia/ptable/ (閲覧2017.8.29)
4) https://www.scientificamerican.com/article/theres-gold-in-them-thar-hills-of-solid-waste/ (閲覧2017.8.29)
5) https://item.rakuten.co.jp/horiman/463038/?scid=af_pc_etc&sc2id=af_103_1_10000645 (閲覧2017.8.29)

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