地底たる謎の研究室

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和邇(ワニ)の謎について



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:和邇(ワニ)の謎について
報告者:トシ

 「家(うち)の庭にワニがいる」ではないが、近年の爬虫類ブームから、庭にワニがいたとしてもおかしくはない時代となった。しかしながら、日本には、野生においてワニは生息していない1)。このことから、古来の日本では和邇(ワニ)という通称として、日本神話に登場する海の怪物としてワニが扱われていた2)。それは、サメ説であったり、ワニ説であったり、あるいは、ウミヘビ説であったりするが、少なくとも古事記に出てくる因幡の白兎の物語では、和邇(ワニザメ)とし3)、ワニとサメの融合的な存在といういで立ちである。図に葛飾北斎による「大国主命と因幡の白兎と和邇(鰐)」を示す。この図の様子から類推するに、やはりワニザメという融合的な存在に一理ありそうである。なお、英語では、この和邇は、Crocodiles(クロコダイル)と訳され、完全にワニ扱いである4)。一方で、この因幡の白兎の物語は、日本の歴史の始まりでもある出雲大社とも関係が深く、詳しい物語については文献5)に譲るも、白兎は八上姫(やがみひめ)と大国主命との縁を取り持ったことから、鳥取県で「白兎神社」の御祭神となっている。その状況から、因幡の白兎は、日本最古の恋物語6)とも言われる。さらに、「白兎神社」の先代宮司の考察によれば6)、白兎というのは、実は野に住む兎でなく、神話時代にこの地方を治め、信望の高かった一族のことをいい、その一族が航海を業とし、沿海をおびやかしていた「ワニ」と呼ばれていた賊と淤岐之島付近で戦ったのが、この物語の創めともされる8)。ここに、元々の和邇(ワニ)の謎があるのかもしれない。



図 葛飾北斎による「大国主命と因幡の白兎と和邇」4)

 そのような日本での扱いであった和邇(ワニ)であるが、現在の爬虫類としてのワニの現生種は、熱帯から亜熱帯にかけて23種が分布し、淡水域(河川・湖沼)、および、一部の海域(海岸を主とする海)といった主に汽水域(*)に棲息している1), 7)。ワニの中でも有名な先のクロコダイルの分布地域図が文献8)に記載されているが、それを見て分かるように、日本はその分布に含まれない。そのため、なぜ爬虫類のワニ、あるいは、ワニザメという存在が、古事記の一節を借りて、日本最古の恋物語に登場したのかは、依然として謎のままである。

* : 淡水と海水が混在した状態の液体を指す用語。 一般には川が海に淡水を注ぎ入れている河口部がこれにあたる7)。



1) https://namamono-moratorium.com/wani-sea-1265 (閲覧2018.8.17)
2) https://ja.wikipedia.org/wiki/和邇 (閲覧2018.8.17)
3) https://ja.wikipedia.org/wiki/因幡の白兎 (閲覧2018.8.17)
4) http://educators.mfa.org/asia-africa/%C3%B4kuninushi-no-mikoto-white-hare-inaba-and-crocodiles-98451 (閲覧2018.8.17)
5) http://www.izumooyashiro.or.jp/about/inaba (閲覧2018.8.17)
6) https://hakutojinja.jp/mythology/ (閲覧2018.8.17)
7) https://ja.wikipedia.org/wiki/汽水域 (閲覧2018.8.17)
8) https://ja.wikipedia.org/wiki/ワニ (閲覧2018.8.17)6)

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