題名:水辺における内省 –David Sylvian氏からの思索-
報告者:ゴンベ
本記事は、この記事の続きです。
先の記事にて水と心の関係性をアーチストHaux (Woodson Black氏)4)のEPアルバム「All We've Known」の中の一曲「Seaside」から思索した。そして水辺における内省(自分の考えを深くかえりみること)を試みた。「Seaside」は訳すと海辺となるが、海辺の先には大きな海が待ち構えてる。そこで、次は、海にまつわる曲を中心にDavid Sylvian氏のそれから思索したい。
David Sylvian氏については、以前のこの記事でも示したが、バンドJapan解散後のソロ活動の起点である「Brilliant Trees」以後、より内省を極め、坂本龍一氏を始めとして、音楽的にも表現を追求すべく、より内証(仏語。自己の心の内で真理を悟ること。内面的な悟り1))的なアルバムが多くなった。その一つのピークがアルバム「Secrets of the Beehive」であるが、その前のアルバムの「Gone to Earth」でもその萌芽が見いだせる。「Gone to Earth」の一曲目、Taiking the Veilは歌ではあっても、その歌詞は以下のように、歌詞というよりも詩そのものでもある。
In dresses white, all set for sail (白い服に身を包み、船出の準備を整えて)
A little girl dreams of taking the vail (少女は尼僧のヴェールをかぶる日を夢みる)
そして、アルバムの中盤を飾る曲が、水(海)に関わるWaveという曲になる。波については、ここの記事にも示したように、人の感情の押し引きをよく表現できることから、やはり名曲となりやすいのかもしれない。そのWaveではこう詠われる。
I’ll run to you, nothing stands between us now (君のもとへ行くよ 誰にも邪魔はさせない)
Nothing I can lose (失うものなどひとつもないのだから)
This light inside can never die (心を満たすこの光りはいつまでも消えない)
Another world just made for two (そこは二人のための別世界)
I’ll swim the seas inside with you (内なる海を君といっしょに泳ごう)
And like the waves, without a sound (音もなく押し寄せる波のように)
I’ll never let you down (決して君を悲しませはしない)
この詩を見ると明らかであるが、海は心の中にもあり、波は心の動きでもある。ちなみに、「Gone to Earth」に全面的に参加したプログレッシブ・ロックの代表的バンド、King Crimson(「クリムゾン・キングの宮殿」というロックの名盤もある)のギタリストであるRobert Fripp氏もこの曲を絶賛し2)、その後、幾度かのDavid Sylvian氏とのコラボも実現するきっかけをも生み出している。
1) https://dictionary.goo.ne.jp/jn/162444/meaning/m0u/ (閲覧2018.9.1)
2) http://hvymetal.com/480291.html (閲覧2018.9.1)
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