題名:愚痴カタラレシスの暗黒卿、ダークサイドの影響について
報告者:ダレナン
本記事は、この記事の続きです。
先の記事にて、一般的な研究ではまずは扱われない不平不満をいう背景について考察した。すると、意外なことに、この不平不満(愚痴)に関する研究があることも、その後の調査で判明した。そこで、本記事ではこの研究に基づき、より深く不平不満(愚痴)の背景を捉えたい。
臨床心理士の伊丹美紀氏ら1)の論文によれば、「愚痴をこぼすことによって、何らかの精神的な変化が生じることは明らかであり、愚痴にはさまざまな効果やコミュニケーションとしての働きがある」とされる。さらに、「人は愚痴という否定的な感情を排出することで受け入れがたい現実から自らを守り精神的な健康を保っているとともに、共感を得ることで自分の考えや行動を肯定的に捉えられるようになる」ことも指摘している。そして、その愚痴によって、「カタルシス」や「気晴らし」といった効果が得られることも明らかとなった1)。
一方、その「カタルシス(catharsis)」とは、もともと古代ギリシアの哲学者アリストテレスが演劇用語として使った言葉である。それから「心の中のわだかまりが解け、気持ちが浄化されること」、「精神の浄化」、「心のもやもやがスッキリと解消されること」という意味で、現在でも用いられる2)。
ただし、である。とめどなく愚痴を「カタル」人は、「カタルシス」でよいが、「カタラレタ」人は、疲弊してしまい「シス」となる。それを聞く側にとっては「カタラレシス」へと至る。それを示唆するように、愚痴場面における聞き手は、受容と承認を(強制的に)求められており、話し手よりも多くのエネルギーを必要とする(かっこ内は著者による)1)。
映画「スター・ウォーズ」では、「ジェダイの騎士」と相対する存在で「シスの暗黒卿」(Dark Lord of the Sith)、あるいは「シス卿」(Lord of the Sith, Sith Lord) などとも呼称される「ダークサイド(暗黒面)」のフォースを信奉する者たちがいる3)。それ3)をもじると、愚痴の聞き手側(愚痴を聞かされる側)の「カタラレシス」によって、本来聞き手にあったであろうジェダイのように穏やかな感情から生み出される「ライトサイド(光明面)」のフォースが、話し手側(愚痴する側)の怒りや憎しみなどといった強い負の感情から生み出される攻撃的な、「ダークサイド(暗黒面)」の影響によって、全エネルギーが吸い取られ、強制的に受容と承認の共感を求められた結果、聞き手側はやがて「シス」。さらに、やっかいなことに、話し手側(愚痴する側)は、不快な気分が強まることによって、さらにカタルシス・気晴らしの必要性が高まり、カタルシス・気晴らしへの依存が高まることも指摘され、愚痴は、愚痴依存性ともなる1)。その愚痴依存性を有する、「カタルシスの暗黒卿」の特徴は、良心に屈せず自身の欲望を貫徹することの出来る精神的な解放性、あからさまな権力欲、防御よりも攻撃的な性向が非常に重要とされ4)、ヤミ金で逮捕された老婆と同様に5)、愚痴の聞き手側(愚痴を聞かされる側)を、愚痴カタラレシスの暗黒卿へとダークサイドに導きたがる。
1) 伊丹美紀, 大蔵雅夫: 愚痴のイメージと心理的影響. 徳島文理大学研究紀要 88: 93-101, 2014.
2) https://imikaisetu.goldencelebration168.com/archives/4181 (閲覧2018.10.22)
3) https://ja.wikipedia.org/wiki/シス_(スター・ウォーズ) (閲覧2018.10.22)
4) https://middle-edge.jp/articles/IwKWf (閲覧2018.10.22)
5) http://amekomisokuho.blog.jp/4308305.html (閲覧2018.10.22)
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